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2006年6月17日 (土)

ラ・ジャポネーズ La Japonaise

Art Nouveau Circus: Vrouwelijke clown en vijf pinguïns (Papa Chrysanthème), 1892 ヨーロッパの芸術をみると、ジャポニズムを自国の文化にしています。たとえばアール・ヌーボォーも、ジャポニズムの流行がきっかけでしたが、日本のアール・ヌーボォーよりはるかに装飾美をつくりあげています。これは、平面美の日本と立体美のヨーロッパの文化の違いだったのでしょうか。

建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュは、建築から内装、家具、貴金属などにジャポニズムを取り入れています。19世紀末、20世紀初頭のアール・ヌ-ヴォ-、アール・デコのモダニズム形成期の先駆者の一人です。(マッキトッシュ ファンサイト

日本におけるアール・ヌーボォーには、杉浦氏、浅井氏らがいます。私の母が、与謝野晶子の乱れ髪を手にした時代に、すでに活躍していたアーティスト。さらに明治の時代に、海外の作品から図案を熱心に模写し、自分自身のモティーフをつくりあげた「板谷波山」がいます。


板谷波山

1995年の「珠玉の陶芸展」の図録は、編集が東京国立近代美術館で、発行が朝日新聞社になっているものです。 出光美術館からは-

-「出光コレクションの中から、収録した。制作年が確かなものにはこれを明記し、他の資料による場合には『項』を付した。参考資料としてやきもの以外の作品と作陶用具などを掲載した。 」とあります。

この「板谷波山」が出光美術館出版の単行本(¥ 26,250)です。ほかにもたくさんありますが、「豪華本「板谷波山」 ITAYA HAZAN」、「板谷波山の生涯―珠玉の陶芸」もおすすめです。出光出版の単行本はここから表紙が拝見できますよ。


板谷波山は、生涯「清貧」とした生活の中で、一切の妥協を許さず、造形や色彩に完璧を期した格調の高いものをつくりあげていきます。


葆光彩磁チューリップ文花瓶 この花瓶の絵柄は「tulips」です。なんと楚々とした可憐な絵柄でしょうか。1917年の「葆光彩磁チューリップ文花瓶」です。

さて、出光美術館所蔵の、1910年作品で「葆光彩磁草花文花瓶」と見比べてみてください。

また、天目茶碗の「命ごい」という作品があります。銘の由来ですが、波山が気に入らず壊そうとしていたところへ、出光佐三氏が譲り受けたそうです。最後まで波山は、箱書きを拒みました。


こういったジャポニズムを、「失われたときを求めて」の著者であるブルーストとの関連を論考した書籍があります。

Le_japonisme_dans_la_vie_et_l
Le japonisme dans la vie et l’〓uvre de Marcel Proust

プルーストの作品および作家自身の体験や感性と、同時代の美術工芸・社会風俗に見られた広義の「ジャポニスム」(日本趣味)との関連性を 、鈴木順二氏によって書かれています。


マルセル・プルーストの生涯と作品におけるジャポニスム」というタイトルになりますが、全仏文です。

ジャポニズムというのは、諸外国が好んだ日本趣味、様式ですが、日本庭園、着物、浮世絵、陶磁器が多かったようですね。作品は美術館とおなじくらいに、海外のコレクター、オークション、アンティークなどのサイトも、豊富ですよ。

板谷波山 作品リンク先
彩磁瑞花鳳凰文花瓶 出光美術館
彩磁月桂樹撫子文花瓶
葆光彩磁禽果文大花瓶
白磁棕櫚葉彫文花瓶
葆光彩磁珍果文花瓶
葆光彩磁細口菊花帯模様花瓶
蛋殻磁袴腰香炉

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2006年6月 4日 (日)

ヌーダ・ヴェリタスー裸の真実

246pxtruthジュール・ジョゼフ・ルフェーブル(Jules Joseph Lefebvre)の「真実」(1870年)はオルセー美術館に所蔵されています。「真実」、「正義」、「平和」という寓意を持っているこの作品。

減少している「前近代的」な寓意像だということです。 (千足伸行著より引用)

真実は闇を照らす光。それに対しクリムトの「裸の真実」はユーゲントシュテールらしくファムファタル的です。どちらも古来鏡を手にしています。

ジュール・ジョゼフ・ルフェーブルの「真実」が天からの思し召しで導かれるのでしょうか。

それに対して、クリムトは「真実は大地から萌え出る」(聖書詩篇85:12)ように、いずれ明らかになるだろうという寓意。

Klimt27『私の自画像はない。絵の対象としては自分自身に興味がない。むしろ他人、特に女性、そして他の色々な現象に興味が有るのだ。』

19世紀末のウィーンは宮廷文化が華やかに咲き誇っていた時代で、ハプスブルク家のお膝元でした。皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世と皇后エリザベートの銀婚式を祝う装飾を引き受けた伝統的バロックのハンス・マカルトでした。助手だったのが、17歳のグスタフ・クリムト。マカルトの「新たな色」、「裸婦」、「装飾の天分」、「女性の肖像への活力」という影響が、人の心に宿る官能性と欲望を絢爛豪華の象徴でもある金箔を用い、官能美で描き、装飾美をほどこし、華麗で魅惑的で恍惚とした世界を表現したのです。

クリムトは、思想表現を目指し、そして東西文化の融合美を描きます。古代エジプトの壁画、黒像式、赤像式などがあるギリシア陶器画や中世の金地板絵、ビザンティンのモザイクの要素を取り入れ、日本の浮世絵や淋派などを思わせる作風から、究極の美、生と死に輪廻、喜び、悲劇をエロティックでスキャンダラスな画風で表現したのです。

この絵はクリムトの女性像のひとつである「Nude Veritas」です。

足元には医学を象徴ともされている蛇が描かれていますが、ここでは大罪と嫉妬の象徴である蛇として描かれています。

BOOk Klimt (作品 「アデーレ・ブロッホ・バウアーI」が表紙です)
エジプトの女神 『 イシス 』 が、その右手に真理を照らす鏡を持ち、足元の蛇は不吉なものと描かれていますが、芽生えている生命力豊かなタンポポが、この女神の勝利を表しているのですね。

さらに銘文にはシラーの言葉、「万人に好まれようとすることは罪悪である」が刻まれています。

汝、真実を照らす鏡を持ち、立ち上がれ。
欺瞞の野にありても臆することなく、虚飾の衣を脱ぎ捨てよ。
美しき花の種子は、今まさに野に散らんとす。

ちなみに「Nude Veritas」は同人誌「ヴェル・サクルム 聖なる春」の挿絵として描かれたものもあります。

さて、日本の浮世絵や淋派などを思わせる作風と記しましたが、クリムト本人が「琳派」を知っていたか、いつ触れて、あるいは触れなかったのかもしれませんが、日本側から「琳派的作品」をさす西洋絵画のひとつに、クリムトの作品があるようです。

写真絵巻 描かれたギリシア神話/青柳 正規, 平山 東子, 小川 忠博写真絵巻 描かれたギリシア神話
高貴な神々や英雄の物語を解き明かすだけではなく、世俗社会も知ることができます。クリムトの絵画の要素のひとつである「ギリシア陶器画」から展開されています。

追記 ↑のBOOK KLIMT の表紙である作品の「アデーレ・ブロッホ・バウアーI」ですが、このたび絵画のなかで至上最高の価格で売却されました。約155億円です。これまでのピカソの「パイプをもつ少年」を上回りました。詳しくはこちらの記事からどうぞ。

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