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2007年1月10日 (水)

カンディンスキー と ミュンター

カンディンスキーといえば、誰でも思い浮かべる「抽象画」です。カンディンスキーが後年、「抽象芸術」ではなく、「具体芸術」という表現をしていましたが、ここで紹介する作品は、初期の作品です。

また、カンディンスキー、ミュンターの場合には著作権が発生します。引用として掲載し、引用元を明記していますので、どうぞ今回は、こちらからの直接の画像引用は、ご遠慮くださいませね。

NHK世界美術館紀行〈9〉アルテ・ピナコテーク・オスロ国立美術館・レンバッハハウス美術館

NHK世界美術館紀行〈9〉
アルテ・ピナコテーク・オスロ国立美術館・レンバッハハウス美術館
画像引用:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p101、p104
引用要約:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p93~p97

レンバッハ美術館のカンディンスキーのコレクションは膨大です。ワシリー・カンディンスキー(ヴァシリー・カンディンスキー)と暮らし、私生活、芸術において支えあった女流画家、ガブリエーレ・ミュンター(1877-1962)からの寄付です。

画像引用:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p104カンディンスキーが夫人のアーニャと別居し、ミュンターと共に暮らすのは、1905年の頃。

そうして1914年まで、アルプス山麓にちかい「ムルナウ」での生活が始まります。「芸術家の集まる家」とよばれる所以は、フランツ・マルク、アレクセイ・ヤウレンスキー、アウグスト・マッケ、パウル・クレー。こうして、1911年に「Der Blaue Reiter 青騎士」が結成されます。
【引用要約:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p93~p97】

写真は、世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p.104から引用で、「ムルナウ」の一室です。土人形に、十字架を手にする絵は、民族的な生活や習慣を感じられますね。壁紙もカンディンスキーとミュンターが施したものでしょうか。この家は、二人の装飾が屋外、屋内ともに残っています。畑を耕したり、とってもLOHAS的な暮らしぶりですよ。

カンディンスキーの作品は、「強烈な色彩とファンタジー」ではありません。「鮮烈な色彩と、目にするものとは別の現実世界」なんですね。強くて激しいさまを色彩で表現しているわけではなく、あざやかで印象が強い色彩なのです。ファンタジーとは、空想、幻想、夢を意味しますが、カンディンスキーは、「一つの現実世界、具体的世界」と、強く述べています。ドラマティックなんですね。

それでは初期の作品を1点紹介します。

画像引用:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p101 「花嫁」1903年
花嫁 1903年 ワシリー・カンディンスキー
画像引用:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p101

初期の作品には、印象主義、ユーゲンシュテールなどで表現していますが、こちらは、ロシア民芸が顕著に現れています。ロシア正教会を望む一人の花嫁。ミュンターと出会った翌年の作品です。この作品から、どんな印象受けます?なんだか淋しげというのが私ですが、キリッとした横顔は、決意を表しているようにも見えますね。

初期の作品は、愛知県美術館のサイトでご覧いただけます。「夕暮れ」、「鏡」、「たのしき飛翔」、「バウハウス・マイスター版画作品集」がありました。

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ヴァシリー・カンディンスキー (Vassily Kandinsky)
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では、ミュンターの絵を一枚。

Kandinsky_03_kafka
ガラス絵 「聖ゲオルクのある静物」 1911年
画像引用:NHK世界美術館紀行〈9〉レンバッハハウス美術館 p104

さて、カンディンスキーの研究、書籍などから、見聞きすると、「音楽家は音楽(メロディー)で、画家は色彩」と提唱していますが、「色彩と自分は一体であり、色彩こそがすべて。」と言っているのはミュンターです。ミュンターに刺激され、カンディンスキーが、自由で鮮烈に描きはじめるようになるのは、1909年の頃なのでした。

それでは、ミュンターの作品を下記サイトからご覧くださいな。

Muntersizedright_kafka Meditation
Gabriele Munter 1917 Oil on Canvas
Stadtische Galerie im Lenbachhaus, Munich, Germany
Image Copyright © www.webslingerz.com


Still_life_with_porcelain_dog_1911_kafka_1Still Life with Porcelain Dog,

Gabriele Münter
1911 Oil on canvas
Image Copyright © www.sdmart.org


Black_mask_with_rose_by_gabriele_munterBlack Mask with Rose
Gabriele Munter 1912
Exhibited in New York (USA),
Hutton Galleries
Image Copyright © www.mystudios.com


Gabriele_munter_kafkaMetallblumen

Gabriele Munter
1933
Image Copyright © www.maulberger.de



Kandinsky_am_harmonium_01Kandinsky am Harmonium
Gabriele Münter 1907 
Farblinolschnitt
Image Copyright
© www.august-macke-haus.de


Burg_lauenstein_muenter_kafkaBurg Lauenstein
Gabriele Munter1926-27
Image Copyright
© www.sammlung-im-obersteg.ch

ミュンターとカンディンスキーの暮らした家、「ミュンターハウス(Munter-Haus)」は、まだそのまま残っています。

Munter-Haus
Öffnungszeiten:Di - So, 14.00 - 17.00 Uhr
Weitere Infos:Münter-Haus
Kottmüllerallee 6
82418 Murnau
Telefon: 0 88 41/62 88 80
Fax: 0 88 41/62 88 81
www.lenbachhaus.de/12_muent/set_muen.htm

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コメント

カンディンスキー、何と言っても天才ですねっ。

ミュンターには興味を持ったことないんですが、上の絵を見ると、ゴーギャンに似てますね。影響受けたような気がするな。

カンディンスキーの描く形態にミトコンドリアみたいなのがありますよね。あれ、顕微鏡写真でそういったものが見られるようになって、それを見たカンディンスキーがモチーフにしたんだろうと、昔から思っていたんですが、実際どうなんでしょうかね。

調べたなかに、そういったことはありませんでしたか ?

投稿: とーし | 2007年1月11日 (木) 19時49分

とーしさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

>カンディンスキーの描く形態にミトコンドリアみたいなの-------顕微鏡写真でそういったものが見られるようになって

そんな可能性ありそうですね!カンディンスキーは、BAUHAUS時代の作品しか知らなかったのですが、最近になって、いろいろ発見しました。

ミトコンドリア・・・、kafkaは、数学、科学(化学、生物)、体育は、苦手ですぅ。ミトコンドリア聞いたことあるけど、なんだっけ。ちょっと検索に行ってきます。

ただいま。

細長くて枝分かれがあるもの、多くのひだが入り組んでいるものなどなど、真核生物の細胞小器官。ふ~ん、イメージつかめます。

エッシャーが数学的なら、カンディンスキーは生物学的だと思います。エッシャーが、数学のお勉強をしたように、カンディンスキーも、当時の科学や生物に目を向けていたのかもしれません。顕微鏡は、ひとつの幻想世界。絵画作品といっしょですよね。

顕微鏡といえは、kafkaが小学校2年生のクリスマスプレゼントに買ってもらいました。雪の結晶や、付属のプレートなどを飽きもせずに、長いこと見ていたそうです。万華鏡も大好きです。

>顕微鏡写真でそういったものが見られるようになって、それを見たカンディンスキーがモチーフに

検索したところ、ホフマンスタールの作品に顕微鏡のエピソードがあるようですが、カンディンスキーには、そのエピソードは残ってないようです。

学校教育の美術では、顕微鏡下の細胞やアメーバーを抽象画の指導に用いて、指導してるところもありますよ。

ですから、とーしさんのお考えになっていることは、正しい推測だと思います。美術、工芸は、ひとつの科学や化学だと思います。いろんな薬品を使ってるし、いろんな素材を使ってる。

すべて、物事は一連してるんですね。

投稿: kafka | 2007年1月11日 (木) 21時42分

今年もよろしくお願いします。

あの当時の科学の先端でもあったであろう顕微鏡による、細胞や結晶のイメージの獲得は、美術家のみならず宮沢賢治なども夢中にさせたようですね。

科学が美術や文学に大いに貢献したわけですね。

カンディンスキーがエッシャーと違うのは、何と言っても色彩の豊穣さでしょう。

投稿: とーし | 2007年1月12日 (金) 19時44分

とーしさん。

そうですね。色彩、色彩!

>美術家のみならず宮沢賢治なども夢中にさせたようですね。

宮沢賢治は、なんだかの木の実みたいな「化石」も発見していますよね。音楽や化学、農業と、短い人生のなかで、たくさんの学問を学びとった人ですね。

雨にも負けずで、ほめられもせず、嫌がられもせず(→不確か)なんて一節がありますが、コツコツと継続していく、賢治の背中がみえるよう。

ミュンターが、ゴーギャンの影響ってありましたね。

ミュンターは、カンディンスキーの青騎士のメンバーだったのですが、表現主義ではなかったようです。

ゴーギャン、ちょっと勉強不足なのですが、民族的、土着的なイメージが、共通してあります。線、色なんかが、ゴーギャンを思い起こさせますね。

投稿: kafka | 2007年1月13日 (土) 00時42分

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ワシリー・カンディンスキー(1866−1944)は、1911年に「芸術における精神的なものについて」という著作で、画面構成、色彩論を論じているが、この頃、カンディンスキーは非対称絵画(1910−1914)の作品を制作した年でもある。抽象画は具体的な対象がないということだ。非対称絵画の場合は、半具象的なものが含まれる。カンディンスキーは、絵画・理論的著作・舞台コンポジション・詩作といった活動のなかで、1909年の「黄色い響き」(当初は「巨人」)、「緑色の響き」、「黒と白」などの舞台コンポジション(舞台... [続きを読む]

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