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2007年1月28日 (日)

ギュスターヴ・モロー

「アダム:金の時代・星・陶酔」(1886年)まるで、小さな妖精のように描かれたアダムとイヴ(エヴァ)。これは、ギュスターヴ・モローの作品で、「アダム:金の時代・星・陶酔」(1886年)といいます。

アダムとイヴが、追放される前の7年間は、楽園で暮らしていました。

この陶酔は、禁断の果実を食べたあとなのでしょうか。前なのでしょうか。気になるところですが、モローが、ヘシオドスの5つの時代から「金の時代」としているところを考えると、果実を食べる前なのかもしれません。

remove  ギュスターヴ・モロー多翼祭壇画「人類の生」
銀の時代では、吟遊詩人のヘシオドスとオルフェウス(オルフェ)が登場する。ヘシオドスがタイトルに登場して、モローの作品の意図がわかるだろ?

さて、引用の「remove」から、ヘシオドスの5つの時代を知ることができ、KAFKAで紹介している、ギュスターヴ・モローの作品が、その銀の時代、それから鉄の時代とシリーズになった、多翼祭壇画「人類の生」という一部だということがおわかりいただけたでしょうか。

「アダム:金の時代・夜・眠り」こちらは、陶酔につづく「アダム:金の時代・夜・眠り」です。

ヘシオドスは、叙事詩「仕事の日」で、「心に悩みなく、悲嘆もなく、神々と暮らす。老いも衰えもなく、あらゆる災厄を免れて、宴楽に耽っていた。」と金の時代を謳っています。

この眠りは、退化していく銀の時代を暗示するようでもありますね。

実はこれは「夕べと苦しみ」なんですよ。

wankoさんが2010年に記事をアップしています。そちらで解説をご覧ください。

記事 ギュスターヴ・モロー「夕べと苦しみ」

つぎの作品は、すでに銀の時代の3枚目になります。

「ヘシオドスとオルフェウス(オルフェ):銀の時代・夜・嘆き」というタイトルで、アダムとイヴに変わって「詩人」の登場です。モローのほかの作品にも登場しているヘシオドスとオルフェウス(オルフェ)です。ヘシオドスが詩神ムーサと描かれている作品がありますが、そのムーサの一人のカリオペの息子が、竪琴の名手オルフェス(オルフェ)なんですね。

「ヘシオドスとオルフェウス(オルフェ):銀の時代・夜・嘆き」嘆きとは・・・。ヘシオドスの嘆きは「鉄の時代」を憂うのか、オルフェウス(オルフェ)が亡くなって、夏の星座「琴座」になってしまったことを嘆いているのでしょうか。

神話の世界を通した一連の作品です。

この3枚を含む多翼祭壇画「人類の生」は、ギュスターヴ・モロー美術館所蔵です。

Musée Gustave Moreau
CARTES POSTALES
最上部に描かれているキリスト以外の9作品は、ポスターで購入できますよ。この3枚のポスター画像の写真の大きいサイズはこの記事の最後にご用意しています。

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「踊るサロメ」(刺青のサロメ) 1876年頃 モロー美術館
「踊るサロメ」 1886年 水彩 ルーブル美術館
「ヘロデ王の前で踊るサロメ」 1876年 モロー美術館

ギュスターヴ・モロー サロメ
「サロメ」1875年 モロー美術館所蔵
「ヘロデ王の前で踊るサロメ」 1876年 アーマンド・ハマー所蔵
「出現」1876年 水彩 ルーブル美術館所蔵
「出現」1876年 油彩 モロー美術館所蔵
「牢獄のサロメ」東京国立西洋美術館
「サロメ」 年代不詳 モロー美術館
「サロメの舞踏」年代不詳 モロー美術館
「庭園のサロメ」1878 個人蔵


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La_vie_de_lhumanit_lage_dargent_hsi

モローのもうひとつの「人類の生」の作品です。こちらの全種類も先のリンク先「remove  ギュスターヴ・モロー多翼祭壇画「人類の生」からご覧いただけます。

2010年追記

この「人類の生」での夜は短い夕べのあとにやってきます。3枚目のミューズが天空にいますが、その「声」を静かに聴いているこの「詩人」は、「夕べと苦しみ」に描かれている「苦しみ」なのではないでしょうか。

そしてこの「声(ミューズ)」は「ヘシオドスとミューズ」、「声」という作品に登場するミューズに似ています。

記事 「ギュスターヴ・モロー ヘシオドスとミューズ、そして声」 

さて、下記の祭壇画の3枚と見比べてください。どちらがお好きですか?


Humanitekafkaeve


Humanitekafkasoil


Humanitekafka

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コメント

ギュスターヴ・モローは、バロック的というかハデハデーという印象があったんですが、ここに取り上げられた作品はどれも静かな感じで意外でした。
南画なんか(シャレのつもりなし)知ってたんでしょうかね。ナンか、静けさが似ている気がします。

投稿: とーし | 2007年1月29日 (月) 18時32分

とーしさん、こんにちわ。

>ハデハデーという印象

そうだよね。kafkaもそう思ってた。でも、いろ~んな絵をみるうちに、ミュシャと同じで、まったく想像できない作品を描いていたり。

画家ってスゴイですね。

>南画なんか(シャレのつもりなし)知ってたんでしょうかね。

そういう可能性もあるのではないでしょうか。南画のような山水画でしたか。そういう筆使いが見えてきそうですね。

南画って、あんまり詳しくないのですが。(笑)

ギュスターヴ・モローって、「人嫌い」と言われているようですが、孤高の世界を持っていた人なんですね。いま、モロー美術館で、プライベートルームなども公開されているようですが、モローの遺言には、決して見せないようにと記されいたようです。

モローの生い立ちやプライベートな生活とモローの作品を、区別したかったのでしょうね。作品を作品としてみてもらうということなのでしょうか。

投稿: kafka | 2007年2月10日 (土) 12時51分

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ギュスターヴ・モロー美術館所蔵 1886年 多翼祭壇画「人類の生」 −上段左から順に追ってみると− アダム:金の時代・朝・祈り アダム:金の時代・星・陶酔 アダム:金の時代・夜・眠り −中段の左から− ヘシオドス :(ヘシオドスとオルフェウス) 銀の時代・朝・インスピレーション オルフェウス:(ヘシオドスとオルフェウス) 銀の時代・昼・歌 ヘシオドス :(ヘシオドスとオルフェウス) 銀の時代・夜・嘆き −下段− 鉄の時代・カイン・朝・労働 鉄の時代・カイン・昼・... [続きを読む]

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