« レオナルド・ダ・ヴィンチの植物画 | トップページ | モーリス・ドニ ドニの中のドニ by KAFKA »

2007年4月 1日 (日)

ポール・ゴーギャン 月と六ペンス

Go_kafkaポール・ゴーギャン。

これまたKAFKAには、あまり縁のない画家です。特にタヒチでの作品は、私の好みは、 ごくごく限られています。

画家のプロフィールは、作品とは切り離して鑑賞します。この作家がどこで生まれ、こんな出来事があってという類は、作品とは、なんら関係がないからです。

ただ、時代背景や、当時の音楽、文学などから、その芸術家たちの横顔が見えることがある。そういうのが好きですね。

作家モームの「月と六ペンス」は、ポール・ゴーギャンの伝記からインスピレーションを得て作品化したところは、皆様もご存知でしょう。

昭和55年(中学校3年生頃)の新潮文庫の「月と六ペンス」は、ページも色褪せて読みにくく、新しい文庫でも買おうかな~と思ったら、並んでない・・・。

しかたないので、色褪せたページを必死に読み直しました。(笑) 小説の最後のほうに、こんなくだりがありました。

「僕のタヒチ出発の時が来た。島の美しい習慣として、知り合った人すべてから、椰子の葉からつくった手篭、バンダバスの扇といった心づくしの餞別を送られた。」(引用:新潮文庫 月と六ペンス 中野好夫 訳 p317)

扇といえば、1902年の「団扇を持つ女」では、美少女トホタウアが羽毛の団扇を手にしていますが、「テハアマナの先祖たち」で、テハアマナが手にしているのは、葉か植物からつくられたような、頑丈な扇。

モームの「島の美しい習慣として」とあるように、扇を持つテハアマナの背後には、先祖信仰を思い起こさせるような装飾を描いています。

Go

ゴーギャンの中のゴーギャンといえば、この1枚かな?最初の作品も好きですね。

先のは、1892年のタヒチ版イヴの「かぐわしき大地(テ・ナヴェ・ナヴェ・フェヌア」をもとにして描かれた点描の水彩画です。タヒチには、蛇が存在しないそうなので、イヴの耳元には、赤い羽根の蜥蜴が描かれているのです。タヒチに蛇がいないとは!

そして禁断の果実のかわりに、孔雀の羽をモチーフにした想像上の花を手にしています。これは、ノア・ノアにも、左右反対で、モノクロと彩色されたものがありますが、水彩の点描画が美しい。

画像をクリックしますと大きくなりますので、どうぞご覧くださいな。

そしてゴーギャンの中のゴーギャンは、「ジャワ女アンナ」(1894年)です。お猿さんがいますねぇ。ほんと、日本では、街中で、住民に被害を与えたりしているニュースを拝見しますが、当時のタヒチでは、動物との共存があったのでしょうか。ゴーギャンの作品だけをみると、この当時のタヒチは、裸で動物と暮らしていたのかと思うくらいです。

そのタヒチを主題にした作品は、タヒチの文化や文明の誤解を招くことは、なかったのでしょうか?それにしても、タヒチの作品はプリミティブな表現で、無垢な自然観が伝わってきますね。

さて「月と六ペンス」ですが、作品の中盤にかかるところ。

『しかもその頃、僕が夢中になっていたのは、印象派画家であり、本当に欲しかったのは、シスレー、ドガといったところだった。とりわけマネには心酔していた。僕にとっては、彼の「オランピア」こそ近代画壇最高の作品であり、また「草上の朝餐」などにも、どんなに深く心を動かされたことか。』(引用:新潮文庫 月と六ペンス 中野好夫 訳 p220)

モームの「月と六ペンス」は、ほんとうに面白い。実際にゴーギャンは、マネの「オランピア 模写」をしています。そして当時のマネの心酔は、ゴーギャンだけではありません。アンリ・ファンタン=ラトゥールの集団肖像画にも、マネ礼賛の様子が描かれていますし、ポール・セザンヌも「草上の昼食」、「オランピア」を模写ではなく、対抗して描いています。

草上の昼食(月と六ペンスでは草上の朝餐)
※カテゴリー草上の昼食↓
Edouard Manet 草上の昼食
マネのオマージュ セザンヌ 草上の昼食
ポール・ゴーギャン オランピア
ポール・セザンヌ オランピア
アンリ・ファンタン=ラトゥール  
※作品は「バティニョールのアトリエ」
リンクはずれてました。直しました。

今回の画像、文章の引用と要約

ゴーギャン―私の中の野性  著者:フランソワーズ カシャン 解説 高階秀爾 販売元:創元社 から引用しております。P84、P190からの引用です。作品解説は本書を参考にしています。

月と六ペンス  著者:サマセット・モーム,中野 好夫,William Somerset Maugham 販売元:新潮社から引用しております。文中にて引用箇所を表示しています。

|

« レオナルド・ダ・ヴィンチの植物画 | トップページ | モーリス・ドニ ドニの中のドニ by KAFKA »

コメント

すっごくいい。ゴーギャンの本物を知るって大事だよね。そのゴーギャンのほんものの作品に近いね。

ゴーギャンって、凄い色使いをしてたと思うんだよね。だから、下手な印刷物やポストカードからは、すっごい野暮ったくなったりするじゃない?素人さんが、ベタな画像を信じちゃうのがこわいよね。

今回もKAFKAの画像は、よい!最高。

追伸:「石ころ」君のこと、ほかサイトでも話題になってました。この記事が引用されると決定的だね。「石ころ」君、そろそろって感じのようです。(笑)

投稿: MAKI | 2007年4月 1日 (日) 16時32分

MAKIちゃん、いつ帰国したの?

>ゴーギャンって、凄い色使いをしてたと思うんだよね。だから、下手な印刷物やポストカードからは、すっごい野暮ったくなったりするじゃない?素人さんが、ベタな画像を信じちゃうのがこわいよね。

本記事で使用した「かぐわしき大地(テ・ナヴェ・ナヴェ・フェヌア」の水彩と、「ジャワ女アンナ」が、一番「色」の変化で、可愛そうな作品になることがあるよねぇ。

なるべく、ゴーギャンの作風が、マイナスイメージにならないように考えましたよ。

MAKIちゃんにほめていただいてうれしいです。

投稿: kafka | 2007年4月 1日 (日) 16時47分

あ、MAKIさんもこんにちは。

新潮文庫の「月と六ペンス」、私も持っていたはず。でも読んだ記憶がない・・・・

ゴーギャン、私も好きですが、タヒチ以前の作品のほうが好みです。ドガ経由のような渋い色使いが、実に実に美しいですね。

投稿: とーし | 2007年4月 2日 (月) 18時57分

とーしさん、MAKIちゃんにもご挨拶、笑いました!

私、とーしさんは、ゴーギャン好きだろうなぁと、思っていたのですが、なかなか使える画像がなかったのです。

ようやく、スキャナで成功し、アップすることができました。

「月と六ペンス」ですが、あぁ、こんな文章があったのかなんて思うのですが、これまでの見たもの、聴いたものが蓄積されて、わかるんですね。

本って、何度も読まないとダメですねぇ。ちなみに、昭和55年の活字の小ささといったら。

いまの本のほうは、1ポイントくらい大きいです。

投稿: kafka | 2007年4月 4日 (水) 00時51分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/85845/5935708

この記事へのトラックバック一覧です: ポール・ゴーギャン 月と六ペンス:

» ポール・ゴーギャン オランピア [La fleur eternelle]
どちらも「オランピア」です。この1枚が、ポール・ゴーギャン(Eugène Henri Paul Gauguin, 1848年−1903年)の「オランピア 模写」です。 Eugène Henri Paul Gauguin Copy of Manet's OlympiaEdouard Manet, Olympia, 1863 Musée d'Orsay, Paris ...... [続きを読む]

受信: 2007年4月 1日 (日) 15時59分

« レオナルド・ダ・ヴィンチの植物画 | トップページ | モーリス・ドニ ドニの中のドニ by KAFKA »