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2010年4月19日 (月)

ルーカス・クラナッハ 七つの「パリスの審判」

ルーカス・クラナッハ 1512-14年

ルーカス・クラナッハ 1530年

ルーカス・クラナッハ 1528年

ルーカス・クラナッハ 1527年

ルーカス・クラナッハ 1530年

ルーカス・クラナッハ 1530年

ルーカス・クラナッハ 1537-40年

最初の作品にはまだ到着していないクピド(エロース)。1527年、28年のクピド(エロース)は進退しながら、最後の瞬間(1537-40年)に、くるりと向きを変え、矢はパリスを捉えました。

クピド(エロス)の飛ぶ位置でルーカス・クラナッハ(父)の「パリスの審判」を並べてみましたが、どの作品が一番好きですか?

私は一番最後の作品が好きです。

さて登場人物はパリスにクピドに三女神(ヘラ、アフロディテ、アテナ)ですが、ヘルメス(メリクリウス)ではなく、老人が描かれています。

王族とはいえ、パリスは羊飼い。それなのに騎士の姿で描かれています。不思議ですね。

2012年追記  クラナッハの記事リンクはこちら
記事 クラナッハ 三位一体と死んだ男


パリスの審判 ゼウスの目論み


Venus_el_2

ルーカス・クラナッハ ヴィーナス(ウェヌス)

英雄ペレウスと海の女神テティスの婚宴に招かれたオリュンポスの神々。ただ一人招かれなかった争いの女神エリス。婚宴に女神エリスは「一番美しいものへ」と「黄金の林檎」を投げ入れます。

こうしてゼウスのたくらみどおり、人間を間引きするための戦争のきっかけがはじまっていくのです。

さて、この「パリスの審判」で女神の贈り物やトロイア戦争の発端になるお話はこちら。

記事 「パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと

フランツ・フォン・シュトック、ニクラウス・マニュエル、ウィリアム・ブレイク、ルーベンス、ラファエロなどの「パリスの審判」の作品14枚ほど掲載されています。

ではこのトロイア戦争の発端は、パリスの審判でのアフロディーテの贈物。スパルタの王妃ヘレネーをパリスに与えたことですね。

ヘレネーはレダと白鳥ゼウスの子で、卵から生まれたという伝承もあります。

なぜパリスはヘレネーを美の贈り物に選んだのでしょうか。それは愛と美の女神ヴィーナス(アフロディーテ)が、そのとき囁いたからです。

Cupid_venus

ルーカス・クラナッハ クピドとヴィーナス(ウェヌス)
クラナッハのクピドとヴィーナスはこちら→SAI

女神テティスの結婚も、招待されなかった女神エリスも、ゼウスの手の上のような気がしてきます。

そしてヴィーナスはイーリアス説においてはゼウスの子です。

このヴィーナス(アフロディーテ)のパリスへの囁き。ホメーロスの「イーリアス」からウェルギリウスの「アエネーイス」に続いていきます。

そしてアエネーイスでは、アフロディーテの子アエネアースがイーリアス(トロイア)滅亡後の復興をかけた物語がはじまります。

このトロイアの王族とヴィーナス(ウェヌス)は子を設けるのですね。これもゼウスの仕業です。

アンキセスに恋するように。

こうしてゼウスの人間を間引く目論見は、まだまだ続けられるのです。

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» パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと [La fleur eternelle]
フランツ・フォン・シュトックの描いた三女神。「パリスの審判」は、古代から中世、ルネサンス、ロココ、世紀末までずっと描かれてきた題材です。ほとんどの皆様が文学などからご存知だと思いますが、今日はそのお話しを記事にしたいと思います。ところで、ルーカス・クラナ....... [続きを読む]

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