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2010年5月25日 (火)

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ Dante Gabriel Rossetti

Astarte Syriaca, D.G. Rossetti  manchester

シリアの女神アスタルトまたはシリアの女神アスタルテ
(ASTARTE SYRIACA)
1877年 マンチェスター美術館
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

ロセッティの「ウェヌス・ウェルティコルディア」の検索が多いので記事を独立させました。以前の過去記事にも、そのまま残しています。

それだけでは申し訳ないので、作品を三点ご紹介します。シリアの女神アスタルテは美術書からスキャナしたものです。

シリアの女神アスタルト(女神アスタルテ)は太古の女神からアプロディーテとウェヌス(ビーナス)に同一視された一人です。古代ギリシャやローマでは「アスタルテ」と呼んでいました。

美と豊穣の女神として崇拝されていたよう。その一方で歴史の統治者で、創造と破壊を繰り返し、新しい世界をつくり続けたと言われています。

申命記や旧訳聖書の列王記などにも名があがり、女神天の女王も彼女の呼び名ですが、この異教の女神はキリスト教の布教とともに、悪魔側の女神となっていきます。

wikiによると、「黒い服を着た美しい姿だが非常に残忍な性格で、唇からは一筋の血を流し続け、他人の苦痛に微笑むという」とありましたが、「美しくも勇猛、残忍な争いの女神としての側面を持っているため」とも。

Astarte Syriaca, D.G. Rossetti  manchester

アプロディーテと同一視されるのもうなずけますね。ロセッティはこの同じタイトルの詩を創作しています。

Mystery: lo! betwixt the sun and moon
Astarte of the Syrians: Venus Queen
Ere Aphrodite was. In silver sheen
Her twofold girdle clasps the infinite boon
Of bliss whereof the heaven and earth commune:
And from her neck's inclining flower-stem lean
Love-freighted lips and absolute eyes that wean
The pulse of hearts to the spheres' dominant tune.

Torch-bearing, her sweet ministers compel
All thrones of light beyond the sky and sea
The witnesses of Beauty's face to be:
That face, of Love's all-penetrative spell
Amulet, talisman, and oracle, -
Betwixt the sun and moon a mystery.

KAFKA 意訳(誤読あり)

その謎を見よ、太陽でもあり月でもある
シリアのアスタルテ、女王ヴィーナス、
やがてはアプロディーテ
その姿は白銀の光彩のなか
女神の二重の帯には無限の恩恵
至福に就いて天地と交わり
傾げた首に天上の花
愛を渡すその唇、引き裂く上天の瞳
天球の音階の旋律は心を鼓動させる

愛らしい御使いが仕え、松明をかざす
空と海の遥か先の光が、玉座を照らす
美しき面影を見れば その面影に
たちまち愛の呪文に侵される
魔除けと守りに神のお告げ
太陽でもあり月でもあるその謎よ


過去記事  4月の寓意 オウィディウス「祭暦」 から


Venus Verticordia, D.G. Rossetti

ウェヌス・ウェルティコルディア 1864-68年
(心変わりを誘うヴィーナス)
Russell-Cotes Art Gallery and Museum
Dante Gabriel Rossetti

19世紀のラファエル前派、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティはオウィディウスの「祭暦」の不貞に対して神助を求めるための女性たちのウェヌス・ウェルティコルディア(心を変えるウェヌス)を、「人の心を変えてしまうファム・ファタルなウェヌス」としてしまったんですね。

ロセッティのソネット

その女が差し出す林檎を前に
わずかに心に残る迷いに
引き返すことができるだろうか。
女は思いを一心に凝らし、
まだ恥らっているごとく
男の魂の奥深く注ぐその瞳。
女が呪文を囁く。
「甘美に身を委ねる人よ
その林檎を唇に押しあてて
つかの間の甘さに酔えば
たちまち矢が心を貫く
それは永遠にさまよい続ける運命となれ」

ロセッティはタイトルをオウィディウスの「祭暦」のウェネラリア祭りのウェヌスから用いて、「悪徳に誘惑される若者の寓話」のヴィーナス像を描いているようです。

Honeysuckle

描かれている吸葛の花言葉「愛の絆」

ロセッティの添えた言葉から、アダムとイヴを想像させます。「それは永遠にさまよい続ける運命となる」と結んでいますが、描いているパリスの審判で得た黄金の林檎は禁断の木の実で、その木の実を口にして、楽園追放となった運命をさしているのでしょうか。

そのウェヌスが神花のミルトスの代わりに黄金の蝶のティアラをつけています。蝶は「ヴァニタス(儚さ)」を寓意したもので、引き返すことができなかった男たちの魂を象徴しているようです。

Venus Verticordia, D.G. Rossetti

人の心を変えるヴィーナス
(魔性のヴィーナス)個人所蔵
Dante Gabriel Rossetti

もう一枚のロセッティの「ウェヌス・ウェルティコルディア」は恋人の一人ファニー・コーンフォースをモデルにしたドローイング。色付きはポスターから。左が写真画像のモノトーンです。

背後に銘文?かなにか書いてます。

こちらもパリスの審判によってヴィーナスに贈られた黄金の林檎を持っていますが、蝶は描かれていません。パリスの審判の林檎を持たせたのなら、なぜ「ウェヌス・ウィクトリクス(勝利のウェヌス)」としなかったのかな?

Venus Verticordia, D.G. Rossetti

パリスの審判の文脈ではこの勝利のウェヌスがでてくるからです。

ロセッティのウェヌス・ウェルティコルディアの背後はやはりウェヌスを象徴する薔薇。

ウェヌス・ウェルティコルディアは決してファム・ファタルの代名詞ではありません。ロセッティはウェヌスの神話をすべて同一視して描いたようです。いくつかの添え名のウェヌスをロセッティの物語に変えて。

Venus Verticordia

She hath the apple in her hand for thee,
Yet almost in her heart would hold it back;
She muses, with her eyes upon the track
Of that which in thy spirit they can see.
Haply, "Behold, he is at peace," saith she;
"Alas! the apple for his lips, - the dart
That follows its brief sweetness to his heart, -
The wandering of his feet perpetually!"

A little space her glance is still and coy,
But if she give the fruit that works her spell,
Those eyes shall flame as for her Phrygian boy.
Then shall her bird's strained throat the woe foretell,
And her far seas moan as a single shell,
And through her dark grove strike the light of Troy.


ロセッティ ソネットと絵画作品(写真画像)


Proserpina(1881-82) Tate Gallery
Dante Gabriel Rossetti

Proserpina(1881-82) Tate Gallery
Dante Gabriel Rossetti

Afar away the light that brings cold cheer
Unto this wall, - one instant and no more
Admitted at my distant palace-door.
Afar the flowers of Enna from this drear
Dire fruit, which, tasted once, must thrall me here.
Afar those skies from this Tartarean grey
That chills me: and afar, how far away,
The nights that shall be from the days that were.

Afar from mine own self I seem, and wing
Strange ways in thought, and listen for a sign:
And still some heart unto some soul doth pine,
Whose sounds mine inner sense is fain to bring,
Continually together murmuring, -
"Woe's me for thee, unhappy Proserpine!"

Mnemosyne1881 delaware art_museum

Mnemosyne(1881)Delaware Art Museum
Dante Gabriel Rossetti 


プロセルピナ(1881-82) テートギャラリー 
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ

「 クピドとプシュケ」でプシュケがウェヌス(アプロディーテ)に命じられてプロセルピナが持っている美の秘密が入った箱を取りに冥界までいくのでしたね。プロセルピナはこころよくプシュケに手渡します。

このプロセルピナは神話をお読みになられている方々はおわかりでしょう。豊饒の女神ケレスの娘。

ロセッティがプロセルピナに描いた柘榴。冥界の柘榴を食べたために、プロセルピナは冥界の王プルートに娶られたのです。地上に半年、冥界に半年暮らすプロセルピナ。

ロセッティのソネット「プロセルピナ」

氷の喝采にもたらす遥かに遠い光
この壁まで来たれ、さあ一瞬でも
そして二度とない、遠い宮殿の入り口に入るのだから
花摘みをしたエンナの谷間の悲惨な果実
一口の罪がこの物悲しいところへさらわれた
灰色の冥界より遥か彼方の上空
どれだけ離れたのかと思えば震えてしまう
この夜から私は仕えなければならない

プロセルピナの不幸をロセッティは創作しました。

煙が立ち昇る香炉。弱々しくたなびいています。信じ難い運命を、この異界で生きていかなければならない恐れ。そして冥界の王の花嫁としての夜伽。悔やんでも悔やまれない悲惨な果実は、イヴが侵した禁断の木の実のように、地上という楽園から失楽園に連れ去られたプロセルピナ。

キリストの受難の柘榴。プロセルピナの受難を描いた作品です。


ムネモシュネ(ムネーモシュネー)1881年 デラウェア美術館
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

wikiによると「エレウテールの丘の主で、ピーエリアにおいてゼウスと9日間に渡って添い臥し、人々から苦しみを忘れさせる存在として9人のムーサたちを産んだという。」

ムーサの母になるんですね。、カリオペー、クレイオー、メルポメネー、エウテルペー、エラトー、テルプシコラー、ウーラニアー、タレイア、ポリュムニアーのムーサは神話にも登場します。

ムネモシュネ(ムネーモシュネー)は「記憶の女神」らしく、文芸の女神ムーサたちを誕生させたことのほかあまり知られていません。

バーン=ジョーンズが「アーサー王」のシリーズを作品化しているなかで、マーリンも描いています。このマーリンを裏切ったのが愛弟子でもあり恋人でもあったニミュエです。

このムネモシュネ(ムネーモシュネー)からニミュエと名づけられたという説もあるようです。

この「ムネモシュネ」と「プロセルピナ」はF・R・レイランド(ホイッスラーの孔雀の間をもつ大富豪)のドローイング・ルームにけられていました。この二枚の中央が「祝福されし乙女」のデラウェア美術館所蔵のほうの作品です。

「祝福されし乙女」は友人がアップする予定です。記事がエントリーされたらリンクでご紹介いたします。


関連記事のご紹介

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 無声の絵画 詩と文学
海の呪文 1877 フォッグ美術館
フィアンメッタ(フィアメッタ)1878年 ロイド=ウェバー コレクション
ロマン・ウィンドゥ(マネス神のために) 1874年 ポンセ美術館
レイディ・リリス 1867年 テキサス大学所有
レイディ・リリス 1867年 メトロポリタン美術館蔵
レイディ・リリス 1868年 デラウェア美術館蔵
トロメイ家のピーア 1868-80年 スペンサー美術館
ラ・ギルランダータ 花飾りの女 1873年 ギルドホール美術館

ダンテ・・ゲイブリエル・ロセッティ 聖告(受態告知
見よ、我は主のはした女なり (聖告) 1849-50
聖告 1855年 個人所蔵
聖告 1859年 フイッツウィリアム美術館
聖母マリアの少女時代 1848-49年

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ベアトリーチェの死とダンテの夢 1871年
ベアトリーチェの死とダンテの夢 1880年
ベアタ・ベアトリクス 1871–72
ベアタ・ベアトリクス 1877年
ベアタ・ベアトリクス 1864-70年
祝福されし乙女 1875-8
祝福されし乙女 1875-9
祝福されし乙女(バーン=ジョーンズ)
天上の乙女 1874年
習作 祝福されし乙女1876
黄金の水 1858年
ベアトリーチェの会釈 1859年
パオロとフランチェスカ・ダ・リミニ 1855年
ベアトリーチェ一周忌に天使を描くダンテ 1853-54

詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画
習作 美しき手(ラ・ベッラ・マーノ La Bella Mano)
美しき手(ラ・ベッラ・マーノ La Bella Mano)
ルクレツィア・ボルジア 1860-61
レヴェリー(夢想あるいは幻想)1868
The Daydream, (白昼夢)1872-78
The Day Dream, (白昼夢)1880
アウレア・カテナ(黄金の鎖)
ラ・ドンナ・デッラ・フィネストラ(窓辺の淑女)
ジェーン・モリスの写真
「婦人の肖像画」
F・R・レイランドのドローイングルーム
ヴェロニカ・ヴェロネーゼ 1872
パルミフェラの巫女(シビラ・パルミフェラ)
「扇をもつ婦人」 バーミンガム美術館
アレクサ・ワイルディング
習作 メデューサの容貌
メデューサの容貌

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2010年5月17日 (月)

エドワード・バーン=ジョーンズ 眠れる森の美女 いばら姫(眠り姫)

Sleeping Beauty 1895 by John Dickson Batten (1860-1932).

ラファエル前派のエドワード・バーン=ジョーンズの眠り姫(いばら姫)をご紹介するまえに、序書として、ジョン・ディクソンの作品「眠り姫」をご覧ください。

まるで英雄ペレウスと海の女神テティスの婚宴に招かれなかったように、この物語も国王夫妻に誕生した姫君の祝宴によばれなかった13人目の魔女が「王女は錘が刺さって死ぬ」と呪いをかけました。

ペレウスとテティスの場合は「いちばん美しい人へ」と争いの女神が「黄金の林檎」をなげいれ、「パリスの審判」からヴィーナスが勝利し、そして「トロイア戦争」がはじまります。

過去記事 ルーカス・クラナッハ「パリスの審判」
関連記事 「パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと

眠り姫は、まだ祝いの贈り物をしていなかった12番目の魔女が、その呪いに「姫は死なず100年眠るだけ」と死の呪いをかえました。

ジョン・ディクスンの「眠り姫」は、ちょうど15歳になったある日、塔につながる階段をのぼり、小部屋をみつけます。塔の一番上の小部屋の老婆。描かれている老婆が、13番目の魔女でした。

魔女が紡いでいた錘で手を刺したその瞬間をディクソンは描いているのです。

Small Briar Rose series (1871-73),「The Rose Bower」 Museo de Arte de Ponce, Puerto Rico

エドワード・バーン・ジョーンズ
「ブライア・ローズ」 ポンセ美術館

エドワード・バーン・ジョーンズの連作「眠り姫(いばら姫)」 (1870~1873年)は、ファーストシリーズのポンセ美術館所蔵のものです。オックスフォードシャーのファリンドン・コレクション・トラストのものも有名でそのほかにも何枚も描いています。

わたしがエドワード・バーン=ジョーンズの「いばら姫」で一番好きなのはポンセ美術館の第四場面です。

Small Briar Rose series (1871-73) 「The Briar Wood 」,「The Council Chamber」Museo de Arte de Ponce, Puerto Rico Date:unkown「The Garden Court 」

いばらの森、眠る王の2枚がブライア・ローズ(いばら姫)と同じポンセ美術館所蔵ですが、三番目の「中庭」の場面の所蔵先が不明です。

いばら姫シリーズ (1871-73) ポンセ美術館
1.いばらの森 2.閣議室(眠れる王)
ポンセ美術館所蔵は、中庭を除いた3作品がシリーズです。

Date:unkown(所蔵先、制作年数不明)
3.中庭

連作はどの作品も場面は同じで背景や立ち姿などに変化があります。

Small Briar Rose series (1871-73) 「The Briar Wood (いばらの森)」

第一場面

いばらの森にはいる王子

王子がいばらの森にはいると、すでに何人もの王子や廷臣たちが眠り続けています。

100年のあいだに多くの人々がいばら姫を目覚めさせるためにいばらの城にやってきていたのです。

ここでの物語りもいろいろあります。王子ではなく鷹狩で迷い込んだ王。この王にはすでにお妃がいます。

Small Briar Rose series (1871-73)「The Council Chamber」

第ニ場面

眠る王

いばら姫の父である王。左には妃とみえる女性が眠っています。

一説にはいばら姫の母は亡くなってしまったという物語もありますが、バーン=ジョーンズは妃を描いているようです。

いばら姫のお妃は悲嘆して自殺したというお話のほかに、眠るいばら姫を残し、王と城を離れるというお話しもあります。

Date:unkown「The Garden Court」 (3rd )by Edward Burne-Jones

第三場面

中庭

中庭では機織を目の前に倒れている女性たち。糸を紡いでいたのでしょうか。

姫が呪いをかけられたときに紡ぐ道具をすべて燃やしてしまったと語られていますが。

ペローの童話、グリムの童話、ジャンバティスタ・バジーレのペンタメローネと「いばら姫」は伝承されていますが、他国の王が眠り姫の城に鷹狩の途中で立ち寄り姫と王の間に子供ができ、王の国の王妃がその子供をスープにしてしまおうと企むなどのお話しもあります。

グリムはいちばん夢物語のような「いばら姫」ですが、ペローもバジーレも「子供」がいるという設定は同じです。

つまり「性」の物語として扱っているようなんですね。

Small Briar Rose series (1871-73),「The Rose Bower」 Museo de Arte de Ponce, Puerto Rico

第四場面が「いばら姫の閨」です。「いばら姫の私室」とありますが、眠っている間、あるいは目が覚めたあとの王との寝床と考えれば「閨」なのかもしれません。

ペンタメローネではこの物語は「ランプツェル」、「太陽と月のターリア」などにお城に幽閉された娘がこっそり恋をし子を宿すお話しです。

過去記事 IL PENTAMERONE
関連記事  LO CUNTO DE LI CUNTI
関連記事 ペンタメローネ 二日目第一夜

The Legend of Briar Rose (1885-90)「The Briar Wood 」「,The Council Chamber」,「The Garden Court 」Farringdon Collection Trust, Buscot Park, Oxfordshire

こちらの1890年のセカンドシリーズのほうが知っている方も多いかも知れませんね。オックスフォードシャーのファリンドン・コレクション・トラストのもので、バスコット・パークの応接室のような部屋の壁に装飾されているようです。

ファーストシリーズに比べて、背景や小物が多く描かれています。どちらかといえばファーストシリーズのほうがシンプルで好きですね。

The Legend of Briar Rose (1885-90)「The Rose Bower」Farringdon Collection Trust, Buscot Park, Oxfordshire

呪いもそうですが魔女が妖精だったり物語によって違ってきます。眠りについた姫を、父王と妃である母は、別れを告げて城をさるなど様々です。

日本での「童話」に訳されているのに多いのは、すべての人が眠りにつくというお話ですね。料理人は料理をしているとたんに眠り、鼠を追いかけている猫がその姿のまま眠り、飛ぶ鳥も羽を羽ばたかせたまま眠るというお話し。

The prince entering the briar wood(1869年) byEdward Burne-Jones Christie's London

エドワード・バーン=ジョーンズ いばら姫(ブライア・ローズ)
第一場面 いばらの森 1869年 
現在オークションハウスのクリスティーズにあります。

The Sleeping Princess(1886 - 1888) Edward Burne-Jones His daughter Margaret and this study was given to her in 1888

エドワード・バーン=ジョーンズ「眠れる姫君」1886-88年

いばら姫(ブライア・ローズ)
第四場面 いばら姫の私室に似ています。

こちらは所蔵先が不明でした。バーン=ジョーンズの娘マーガレットをモデルにした「眠れる姫君」です。

第四場面のいばら姫は連作に比べるとすごくシンプルなので習作なのかしらとも思いましたが、この作品をマーガレットに贈ったようです。

study 1870 The Walker Art Gallery

こちらが習作です。 1870年のものなので、ファーストシリーズのためのものと思われます。所蔵先はリヴァプールのウォーカー・アート・ギャラリーです。

The Council Chamber,1872-92  Delaware Art Museum

この閣議室(王の眠り)は1872-92年制作のものでデラウェア美術館です。ポンセ美術館のものと非常に似ていますよね。お花の描き方が違うんですよ。

The Briar Rose: study for

エドワード・バーン=ジョーンズ いばら姫(ブライア・ローズ)
第三場面 中庭(習作) 1889年

Edward_burnejones 「The Rose Bower」(la bella addormen) 1872.  Hugh Lane Gallery of Modern Art, Dublin.

エドワード・バーン=ジョーンズ 「いばら姫」 1872年
ダブリン ヒュー・レーンアートギャラリー所蔵

1889年の作品ですが、まるでアートトリックのように描かれていますよね。エドワード・バーン=ジョーンズの作品は教会に収める作品は、まるでイタリアルネサンスのようですし、「受胎告知」、「キリスト降誕」、「東方三博士の礼拝」、「最後の晩餐」など、そのテーマにふさわしい描きかたができる不思議な人。

わたしは「ラファエル前派」というと挿絵的で独特の色つかいと思っていましたが、エドワード・バーン=ジョーンズは、みなさんもご存知のように様々な作品を残しています。

The Legend of Briar Rose (1885-90) Salone del castello di buscot park_

セカンド・ヴァージョンのバスコット・パークのサロンの写真で、右には眠るいばら姫、左には中庭が配置されている間に3枚のシリーズが挟まれています。全部で10作品あるそうです。

Briars
The Briar Wood
Briars
Briars, with Helmet and Greave
A Terrace, with a Curtain hanging before a flowering Briar
The Council Chamber
A Terrace, with a Curtain hanging before a flowering Briar
A Stone Hall with flowering Briars
The Garden Court
A Stone Hall with flowering Briars
A Stone Kitchen overgrown with Briars
A Kitchen with a Cupboard overgrown with Briars
The Rose Bower
A Kitchen, with a Basin, Towel and Briars

ではエドワード・バーン=ジョーンズの「スリーピング・ビューティー」という作品をご紹介します。「眠れる美女」でいいかな?

The_sleeping_beauty_1871

  エドワード・バーン=ジョーンズ  眠れる美女

Sleepingbeauty

エドワード・バーン=ジョーンズ  眠れる美女

このあたりは、ペンタメローネを意識しているような描き方です。たぶん連作はグリムをイメージしていたのでしょうか。官能的なポーズをとる眠り姫、ペローやバジーレの寓話です。

さて最後はこちらの記事の紹介です。「ヴィーナス賛歌」はみなさまもよくご存知の作品ですが、美しく描かれた背景をよくよくご覧になられたことは少ないと思います。

どうぞこちらの記事からご堪能くださいませ。

Kafka_fu

エドワード・バーン=ジョーンズ ヴィーナス賛歌  Laus Veneris by Edward Burne-Jones

バーン=ジョーンズ関連記事

記事 ペルセウス

記事 アーサー王シリーズ(タペストリーほか)

記事 バーン=ジョーンズ 聖ゲオルギウスの伝説

記事 エドワード・バーン=ジョーンズ 7枚の運命の女神の車輪

記事 サン=ローランコレクションのタペストリー

記事 サン=ローランコレクションのパネル

記事 エドワード・バーン=ジョーンズ  ヴィーナス巡り

記事 「エドワード・バーン=ジョーンズ ヴィーナスの誕生

記事 「エドワード・バーン=ジョーンズ ウェヌス・エピタラミア(祝婚歌のウェヌス)

XAI
バーン=ジョーンズ シリーズ「薔薇物語」
たくさんの作品記事にリンクさせています。年代別になっています。 

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2010年5月 2日 (日)

クロード・ベルランド Claude Verlinde

500

「結婚式 ラ・マリアージュ」

結婚どうしようかな?勢いでOKしちゃったけど。なんていうような花嫁のお顔。

幻想的なフランスの画家クロード・ベルランドは今年82歳だそうです。この作品は諷刺だと思われるのです。

人間の顔の鳥、骸骨の顔の鳥、そして驢馬の花婿。「結婚とは鳥かごに囚われた小鳥」とでも暗示しているのでしょうか。カーテンの陰には大きな鳥籠が。

クロード・ベルランド 関連記事 
La fleur eternelle 「家系樹」/「狂おしいほど」
RE+nessance「指で捲るその本」/「図書館」
catdogbell「女神アプロディーテー

La_libert

「自由 ラ・リベルテ」

こちらも男性は獣姿です。馬?羊のようにも見えるけど。女性は大きなシャッポーを被っていますが、帽子のリボンは足元の紙くずが舞い上がってしまったのかもしれませんね。

ウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」を象徴しているのでしょうか。

寓意や諷刺のきいた幻想的な作品もあれば、貧しさを象徴していたり、幻想を通り越て生々しい残酷な作品もあります。

個人の価値観や好みから、クロード・ベルランドが好きというより、「あの作品だけは好き」と限定されてしまうほど、個性の強い画家ですね。

一年ぶりくらいにアップしたXAIの記事。今年はクロード・ベルラントなんだ!

クロード・ベルランド Claude Verlinde

3枚の夢(ダークな夢)みる作品は、見ごたえあります。

alei も記事アップですね!TBしてくれないの?
Claude Verlinde クロード・ベルランド

以前のサイトでご一緒だったyahooブログさんも記事をアップ。
Claude Verlinde クロード・ベルランド  -夢

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