ギュスターヴ・モロー ヘシオドスとミューズ、そして声
こちらに関してはKAFkA過去記事、REMOVEの記事から解説をご覧ください。
KAFKA ギュスターヴ・モロー人類の生から
REMOVE ギュスターヴ・モロー多翼祭壇画「人類の生」
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XAI 「キマイラたち 悪魔的なデカメロン」
各作品記事にリンクしているほか、一般的に掲載されているフォッグ美術館所蔵「キマイラ」の作品画像に比べて、とくにオリジナルに近い作品画像もご覧いただけますよ。
ギュスターヴ・モローは、1886年の「人類の生」で、ヘシオドスの「労働と日々」から三場面にわけて描いています。
ヘシオドスといえば「神統記」!が有名ですけど、古代ギリシャの叙事詩人ヘシオドスは、羊飼いの時代に、突然にムーサが詩人としての才能をヘシオドスに与えたという逸話がありますが、その場面をモローは描いているのでしょう。
さて「声」ですが、とても「ヘシオドスとミューズ」に似ています。モロー美術館所蔵の「声」は胸のふくらみからいって女性のよう。
モローはアンドロギュノス化した男女を描くこともあり、女性らしいのに男性性器を描いたりしています。
とくにモローはオルフェウスのほかに「サッフォー(サッポー)」もよく描いていますよね。声の主をムーサ、ミューズと考えると、詩人はサッフォーを描いたのかもしれません。
ギュスターヴ・モロー 夕べの声(夕べの声々)
この三人はアグライアー、エウプロシュネー、タレイアです。そう、「三美神」なんですね。でもタイトルは「夕べの声」で、三美神をしめす「カリス」や「グレイシス」とはありません。
アフロディーテの従者となるまえは、「オリュンポス山の山頂に住み、神々の宴ではアポローンの竪琴やムーサたちの歌声と共に演舞した(wiki引用)」とありましたが、KAFKA過去記事で「人類の生」にある「夕べと苦しみ」を紹介しています。
そこにwankoさんの記事「夕べと苦しみ」にリンクもしていますが、調べてみると詩人ポール・ブールジェの「夕べ」という擬人化は、「眠りにつこうとしてることに耳をかたむけさせる」ともありました。
モローは「声」というタイトルに何を象徴したかったのか気になるところです。やはり詩人、音楽そうした芸術なのでしょうか。
習作の聖セバスチャンは、「声」というタイトルがつけられています。こうしていろんな作品を鑑賞してみると、隠れた作品から、意外な作品とのタイトルの共通点や、同じ作品のように描かれていてもタイトルは違ったりと、モローの夢のかけらが見えてきますね。
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