左上が当時の表紙です。ページを開くと、裏表紙のほかイラストが。左下は現在ペーパーブック(¥2,600くらい)で売られているものの表紙になっています。
本文はとっても短く2行くらい。ウォルター・クレインの言葉です。はっきりと擬人像には触れていません。言葉と挿絵に連想しながら、KAFKAの勝手な解釈です。
原文はイラストにあります。KAFKAが想像した神話や詩の世界、そしてイギリスの歴史を添えてみたいと思います。
こちらはチューリップにアイリス。神話では西風ゼピュロスが花の女神フローラとの結婚で彼女に贈った花になります。
アイリス
もう一人、ゼウスに求愛されていた女神イーリス(イリス)は西風ゼピュロスの妻とも言われている説があります。彼女がゼウスの妻ヘーラーの伝令役(ヘーシオドスの神統記より)でもあったのです。
彼女はゼウスの求愛を拒み、なぜかよからぬ噂が流れ出て、ヘーラーに問い詰められますが、一言も弁解することなく美しい涙と美しい笑みをそっとヘーラーに返します。
その涙にヘーラーは、彼女を虹の女神にかえ、ネクタール(神々のお酒)を注ぎます。その一滴から誕生したのがアイリスだといいます。
チューリップ
チューリップもやはり求愛を求める果樹と果実の神ウェルトゥムヌスから逃れるために、娘チューリップは貞操と純潔の神ディアナの力で、春の花に変わります。これが「チューリップ」なんですね!
ウェルトゥムヌスは変身物語でのポモナへの求愛が有名で絵画作品にもなっています。
はじまりの緑の木陰に横たわる人。古英国の庭園を夢見ています。ウォルター・クレインその人でしょうか。その隣は鍵をもつ妖精です。「旅人の喜び」という花言葉のとおりに、夢見る庭園に誘うのでしょうか。最後に登場するのでそのときに。
さっそく左下の作品から。時の翁クロノスですね。
時の翁クロノス
彼のアトリビュートは時と命を刈り取る大鎌。死神と同じいでたちですよね。そして時の象徴は翼、そして砂時計です。ブロンズィーノの愛の寓意にも描かれているクロノス。
そして右下。彼女たちは時の女神ホーラたちではないかと。ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」には一人しか描かれていません。
ホーラは3人の女神で描かれることが多いのですが、「四季」から4人描かれることがあります。
四季 フォーシーズン
原文
The Four Seasons' flight forgetting,
As they dance round the dial stone;
「四季(フォーシーズン)」には、「春」は花冠の若い女性、「夏」は鋤、鋤をもつ女性、「秋」は葡萄、「冬」は老人と火です。
神にたとえると、春はフローラ、もしくはウェヌス(ヴィーナス)、秋はバッコス、冬はポレアス、もしくはウルカヌスです。
時、季節の女神ホーラ(ホーラー)たち
女神ホーラはホラ、ホライともいい、ボッティチェリでは春のホーラが登場したのだと思います。
花や果実を手にする姿が多く、曙の女神アウロラ、月の女神ルナ(セレネ)、彼女たちの母ティアの侍女。
エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネ(平和)の3人です。この3人の一人が西風ゼピュロス(女性関係が多いです)と交わり、カルポス(果実)を誕生させました。
黄水仙
上の2枚には黄水仙が描かれています。女性は古英語を、左は黄水仙の擬人像です。さて一番最初の緑の東屋で横たわる男性をみてください。
その樹木はもうありません。そのかわり黄水仙が咲いています。さて水仙のお話しはもう少しあとに。
女性がもつ古英語はなんと書かれているのでしょう。わたしはウィリアム・ワーズワース(1770-1850)の「黄水仙に献げる詩」を思い出したのですが?
鏡のヴィーナス
正確には鏡を見るヴィーナスです。Love Lies Bleeding ( ラヴ・ライズ・ブリーディング )とありますが、紐鶏頭(ヒモケイトウ)のことです。描かれている花は矢車菊。
花期が長いというこの花は人間の諸段階と比べると老いが遅いということで、この美と愛の女神ヴィーナスを例えたのではないでしょうか。花言葉は「不死」、「不滅」です。
記事 鏡のヴィーナス
ヴィーナス・・・、ワーズワース(1770-1850)の詩「愛は血を流しながら横たわる」からウォルター・クレインは引用したのでしょうか。イラストにはありませんが、風の花アネモネはアドニスの赤い血から誕生しました。
You call it, "Love lies bleeding," so you may,
Though the red Flower, not prostrate, only droops,
As we have seen it here from day to day,
From month to month, life passing not away:
A flower how rich in sadness! Even thus stoops,
(Sentient by Grecian sculpture's marvelous power)
Thus leans, with hanging brow and body bent
Earthward in uncomplaining languishment
The dying Gladiator. So, sad Flower!
('Tis Fancy guides me willing to be led,
Though by a slender thread,)
So drooped Adonis bathed in sanguine dew
Of his death-wound, when he from innocent air
The gentlest breath of resignation drew;
While Venus in a passion of despair
Rent, weeping over him, her golden hair
Spangled with drops of that celestial shower.
She suffered, as Immortals sometimes do;
But pangs more lasting far, 'that' Lover knew
Who first, weighed down by scorn, in some lone bower
Did press this semblance of unpitied smart
Into the service of his constant heart,
His own dejection, downcast Flower! could share
With thine, and gave the mournful name which thou wilt ever bear.
紐鶏頭とプリティ・メイズ
つぎの場面に描かれているのが紐鶏頭です。弓を持つのはたいていクピド(エロス)ですが子供ではなく少年の姿。もしアネモネに変身したアドニスなら弓ではなく、槍を持っているはずですが。
クピド(エロス)が眠る場面は、アドニスが狩に出かける場面だけ。ウェヌスへの愛が消え去ってしまったということを象徴するため。
Where are you going, my pretty maid?
I am going a-milking sir, she said.
May I go with you, my pretty maid?
You are kindly welcome sir, she said.
What is your father, my pretty maid?
My father's a farmer, sir, she said.
What is your fortune, my pretty maid?
My face is my fortune, sir, she said.
Then I can't marry you, my pretty maid?
Nobody asked you sir, she said.
マザーグースにでてくるプリティ・メイドは「どこに行くの、可愛い人よ」 ではじまります。ヴィーナスも猪狩にいくアドニスにそう声をかけたのでしょうか?
もうひとつ
Mistress Mary
Mistress Mary quite contrary.
How does your garden grow?
With cockleshells, and silver bells,
And fair maids all in a row
つむじ曲がりの愛人メアリ
あなたのお庭はどうなるの?
ちっちゃな貝殻、銀のベル
並んだ並んだ乙女たち
こちらのほうはいかがでしょう。
左上はダンデライオン、蒲公英ですね!
Edward, the Black Prince
エドワード黒太子と思われたのは黒い甲冑だけではなく、文中にある羽の紋章からです。黒太子の王冠に束ねられた三本の羽の紋章は、ボヘミア王のジャン・ド・リュクサンブール(ボヘミア王ヨハン)のもの。
盲目のボヘミア王ヨハンは従者の身体とを結んで戦い戦死したのです。その亡骸を発見したのが黒太子の父エドワード3世です。そしてその紋章が黒太子のものとなり、現在でもそれは続いています。
王太子がプリンス・オブ・ウェールズとなることが慣例化されたのが1343年以降。
でもなぜダンデライオンが盾になっているのでしょう。「獅子の牙」を意味しているのでしょうか。
貧しい人々
隣は羊飼いの財布と呼ばれる薺(ナズナ)とナデシコ科のラッグド・ロビン(ラギット・ロビン)とよぶ、リクニスフロスククリ(カッコウ仙翁)。
薺の擬人像の羊飼い。お財布の形が薺に似ているところからこう呼ばれたようです。そして「卑しいラッグド・ロビン」と本文中にありました。
カッコウは他の鳥の巣に卵を産み、育ててもらいます。カッコウのヒナが卵からかえると、その育ての鳥の巣の卵あるいはヒナを落とすのです。
卵もヒナも落ちたら死が待っています。
騎手と競走馬
左下はフキタンポポとヒエンソウ。そしてタチイヌフグリ。雄の子馬に乗るフキタンポポ(コルツフット)の騎手。
右下に左下の原文にあるヒエンソウの騎手とタチイヌフグリの競走馬。花のレースははじまっています。
イギリスの競馬は1540年に始まっています。どこよりも歴史が古いようですね。
山羊さんの小谷渡り(ウラボシ科のシダ)。真実の慰めという花言葉。そしてモウセンゴケと犬。
動物
これは何を意味しているんでしょう。山羊は生贄と贖罪の犠牲となります。あるいはギリシャ神話のパーン(パン)でしょうか。
この獣人の誕生を神々たちは祝福し、「すべての神を喜ばせる」という名を与えられたのです。そして唯一神々のなかで死を迎えたのは、このパーンでした。
犬は猟犬のようなので、イギリスの狩猟の歴史を現しているのでしょうか?それともオリオンが連れている猟犬(おおいぬ座とこいぬ座)?
さて左下のイラスト。コッツウォルズのクームをさすのでしょうか?(いえいえ、ビーナスのアトリビュートなんです。)
このイラストはヴィーナスの髪からシダ、そしてドレスの花はベラドンナ。ではキングのカップといわれる立金花(リュウキンカ)をさすのは何?
このイラストのさいしょの印象。
ヴィーナスの櫛(Venus comb)
VENUS'-COMBE for MAIDENHAIR とあります。ヴィーナスの櫛はホネガイですけど、ここではシダがそのかわりに。
記事 ギュスターヴ・モロー 「アフロディテ(アプロディーテー)」 ヴィーナスの誕生
シダはシダでもホウライシダの「カピルス・ベネリス」は、学名が「Adiantum capillus-veneris L」といいます。「ヴィーナスの髪」ということだそうです。
シダは、ボッティチェリの「プリマヴェーラ」(春)にも描かれています。
記事 ボッティチェリ La Primavera 「プリマヴェーラ(春)」 ダンテの神曲の楽園説
どうも3枚目の立金花をしめす言葉が原文にありますが、4枚目のイラストへと続きます。3人の騎士が着ている着衣に描かれているのが立金花。
KING-CUPS 立金花
原文はKING-CUPSでしたが、King of Cups のことでしょうか。タロットの「カップのキング」になりますよね。
どちらにもかかるようにわざと「ハイフォン」をつけたのでしょうか。
4枚目のイラストの原文
Glad in purple and gold so fair,
Though the DEADLY NIGHTSHADE'S upon her.
月の女神
カップのキングが立金花(キングのカップ)を手に、月の女神と祝杯をあげているようです。それともディアナと同一視されている月神ルーナでしょうか。
ギリシア神話のセレーネーと同一視されるアルテミスやヘカテーと一緒になってしまいました。
三つの顔を持つ、魔法の女神ヘレーネは月の女神、たいていはティアラに三日月があるのですが、紫のローヴに描かれているのですね。女神ヘカテーと同一視されますが、ヘカテーを司る花はトリカブト。
運命の三女神 モイラ(モイライ)
ラケシス、クロートー、アトロポスの3人はホーラたちのあとに生まれた三姉妹。ホーラたちが季節や時の香しさを伝えるなら、この3姉妹は運命を割り当てそしてその運命の糸を断ち切ってしまう役目をつかさどります。
運命の女神が掲載されています。
ジョバンニ・ボッカッチョ, Giovanni Boccaccio
さてこのベラドンナもプワゾン(毒)を持つお花。
学名はアトローパ・ベラドンナ(Atropa belladonna)は、この運命の女神モライのアトロポス(Atropos)から名をとりました。
変えられない運命という意味で、アトロポスは躊躇することなくその命の糸を断ち切ります。その手に持つ大鋏で。
タロットの月
アメリカに生まれてイギリスに渡ったアーサー・エドワード・ウェイト(1857-1942)のタロット(初版1910年)では「隠れた敵・幻想・欺瞞・失敗」を暗示しています。
そのキングのカップに注がれたプワゾンは、そうした象徴でしょうか。
月は「女神」よりも「悪女(あるいは魔女)」を象徴しているようです月は敗北を認めたかのように俯いています。クレオパトラの最期のようですね。
カエサル(シーザー)の暗殺後、クレオパトラとの子カエサリオンはアウグストゥスに暗殺されます。マルクス・ユニウス・ブルートゥスを裏切らせ、アントニウスを翻弄したクレオパトラ。
ナイルの蛇クレオパトラは、最期にアウグストゥスにエジプトの女王として屈服できず、コブラの牙で死んでいくのですが、実はクレオ・パトラは死の準備のために、毒薬を研究していたようです。
最期の死に顔も美しく・・・。このベラドンナのプワゾンは死に顔を醜くするのです。そしてコブラの毒を選んだわけです。
シェィクスピア
キングのカップ、世界を支配する三人とクレオパトラのようですね。
シェィクスピアも「ジュリアス・シーザー」、「アントニーとクレオパトラ」を書いています。 シェイクスピアはクレオパトラを「魔女」、「娼婦」としてだけではなく、「月の女神ヘカテー」と重ねたようにも思えます。
「クレオパトラの涙の一滴よ、それを手に入れることは失ったすべてのものに匹敵する」とアントニー。
まるでシェイクスピアのこの台詞は、ウェイト版の「俯く月が雫を大地へと帰す」とその姿を描いたようです。
タロットの月の下には2匹の犬と未だ試練を断ち切れないザリガニが1匹・・・。
イギリスの詩人ロバート・グレーヴズの小説
1934年に出版された「この私、クラウディウス」(I, Claudius)は、伝承に基づきながらも物語として書かれたものです。「ヴェルサイユの薔薇」なんかもそうですよね。史実に基づきながら架空な人物、独自の解釈がなされています。
よくベラドンナの犠牲のリストに、クラウディウスの妻、アウグストゥスの妻が挙げられていますが、この小説の中のお話なんでしょう?
妻リウィアによって暗殺されるアウグストゥス、そしてカリグラ(カリギュラ)と小アグリッピナの祖父のアグリッパもリウィアによって殺されるストーリー。
でもアウグストゥス(ガイウス・ユリウス・カエサル)は、76歳で肺炎で亡くなっています。「ブルトゥス、おまえもか!」で有名なカエサル(シーザー)の息子がアウグストゥスですね。
権威欲はあったリウィアは、それでも貞淑で聡明な淑女といわれています。
小アグリッピナも犠牲者リストにあがっていますが、暗殺はされますが、史実ではベラドンナの犠牲者を送り出した人。この物語はアグリッピニッラとして、語り手クラウディウスの最後の妻として登場します。
ベラドンナと毒殺
あの皇帝ネロ(暴君ネロ)の母アグリッピナ(小アグリッピナ)が暗殺されたのは息子ネロが差し向けた近衛兵に「剣」で殺害されました。
この剣で暗殺された小アグリッピナも生前は暗殺者。
ネロの母アグリッピナは夫である皇帝クラウディウスを毒殺しています。料理の毒は効かず、即効性のある毒を染み込ませた羽。その毒がベラドンナといわれています。
それこそベラ・ドンナでネロに暗殺されたのは、ブリタンニクスではないでしょうか。ネロの義理の兄弟。皇帝クラウディウスの最初の皇妃メッサリナの息子。晩餐のときに毒殺されたのです。
ジャン・ラシーヌは「ブリタニキュス(ブリタンニクス)」という悲劇を書きました。
ちなみにシェイクスピアの「ハムレット」の父親は、ベラ・ドンナと同じナス科のヘンベーン(ヘボバ)による毒殺です。
「ロミオとジュリエット」、「ヘンリー6世」、「マクベス」はボルジア家で有名なマンドレークだという説がありますが。
それでは御伽噺、神話、花のファンタジーに加えて、聖書の物語も思い浮かべてしまう次の最初のイラスト。
胸には十字軍を象徴するようなギリシャ十字。ドレスの裾にある紋章、右はラテン十字、左はグルジア国旗の十字(Flag of Georgia?)にそっくりです。
サキシフラガ・ウルビウムまたはハルサメソウ(春雨草)といわれる花のロープに冠を被り、戴冠したばかりの女王?
従者らしき人物は、金の鞭といわれる背高泡立草の笏をわたそうとしているのでしょうか?
紋章とアトリビュート
このグルジアの国旗から単に女王を示すのではなく女帝を示すのかしらと思いました。中世のタルマ女王が想像されます。この時代はグルジア文化の黄金期。ショタ・ルスタヴェリは長編叙事詩「豹皮の騎士」をタマル女王に献詩しています。
そして手にもつ球体はタロットカードの「女帝」も持っています。
右上のイラストはアガサ・クリスティーも、作品に好んで使ったジギタリス。別名「狐の手袋」(フォックス・グローヴ)といいます。
狐の手袋
ゼウスの妻ヘラのサイコロが地上に落ち、ゼウスに拾ってくれるよう願うのですが、彼女の遊びを快く思わないゼウスはジギタリスの花に変えるのです。花言葉は不誠実。
ここに登場するのは誠実でなければならない関係の人物たち。兄弟、姉妹、従兄妹、叔母という三親等を象徴しているのでしょうか。
不誠実の花に彩られた血の絆の人々です。
針仕事
Home, Sweet Home' must surely have been written by a bachelor
「家、楽しい我が家」を書いたのは独身男に違いないと言ったのはバトラーです。
サミュエル・バトラー(Samuel Butler 1835-1902)からです。ウォルター・クレイン(1845- 1915)の生きていた時代と同じ頃の人。ダーウィンの進化論批判で有名です。
ちなみにヴォルテールが風刺詩「ヒューディブラス」に触れていたサミュエル・バトラーは15世紀の人。
ヴォルテールはこちら
記事 ヴォルテールの哲学辞典
イラストの女性はバチュラー(独身の男)の綻びたボタンをつけながら、針仕事にため息をついてぼんやり見上げている姿。
バトラーは独身男、学者という意味につかわれますが、このウォルター・クレインのイラストは「家、楽しい我が家」を書いたのは独身の女性に違いないと思っているのでは?
バチェラー (bachelor)は学士、独身の男性を意味します。そして若い騎士です。
Bachelor's button 「独身者のボタン」
ツタンカーメンの棺からでてきた「コーンフラワー(Cornflower)」のことなんですね。矢車菊です。先にリンクしたボッティチェリの「プリマヴェーラ」にこのお花の写真がでています。矢車状の花がとっても儚げで可憐な印象。
属名の「Centaurea」は、ギリシャ神話に出てくる半人半馬の怪物ケンタウルスから由来しています。ケンタウルス族の一人ケイローン(キロン)が、この花で傷を癒したと伝承されています。
独身者のボタンのいわれは蕾がボタンのかたちに見えるところと、ドイツでは独身者が襟元につける習慣のほか、求婚のときにも襟元につけるという説もあります。
解釈がつかないシングル・デイジー
雛菊が描かれているのは左下、そして芝生にちょっと顔をのぞかせてます。二人の紳士はカーネーションに似たお花を象徴しています。
雛菊の旧学名は「ベリス(Bellis)」です。木の精ベリデスに由来 します。またまた果樹と果実の神ウェルトゥムヌスはそのニンフ・ベリデスを抱きしめようと近寄るのです。ベリデスは天の助けによって雛菊(デイジー)の花の姿になりました。
この雛菊はイタリアの国花です。
カーネーションとデイジーと二人の男性から、ウォルター・クレインは何を紐解かせようと考えているのかな。
ナショナル・ギャラリー・マガジンのカーネーションのイラストと比べて・・・。ウォルター・クレインの描いた花はやっぱりカーネーション。
カーネーションはスペイン、モナコなどが国花にしています。
カーネーションの由来は皆さんご存知だと思いますが、キリストの磔刑に聖母マリアが流した涙から誕生したといいますね。
戴冠、謝肉祭などと由来には諸説がいっぱいあります。雛菊も聖母マリアの花とされ、涙から生まれたという説があります。知りませんでした。
同じ意味をもつ二つの花。ちょっとこじつけになりました。
ところで独身者のボタンをつける矢車菊とこの背景は同じです。彼女の見つめる先はここだったのでしょうか。
左上は馬の尾と呼ばれているトクサ、そしてクラブ・モスはウルフの爪と呼ばれています。狼の姿で描かれていますね。
レディース・ラゲスの正体不明
Rides off with a LADIES' LAGES レディースラゲスって何をさしてるんでしょう。
テキサスマドロナという木は女性の美脚(Ladies Legs)といわれています。ラン科のネジバナは女性の巻き毛(Ladies' tresses)。
レディース・ラゲスの葉はネジバナの葉に似ています。そしてイラストのなかでは女性の髪の部分に「レディースラゲス」とよばれているのを描いているんですね。
それでは次に。
修道士の僧帽 Friar's Cowl
サトイモ科 ロード・アンド・レディスは19世紀の薬用植物だそうです。この「修道士の僧帽」もその仲間。
花というのでしょうか。低く頭をもたげた蛇に見えます。細い舌をシュルッとだしているんです。クレオパトラの白い肌に牙をかけたような・・・。ネットですぐに検索できます。
司教の草庭 BISHOP'S-WEED
ビショップ・ウィード(司教の草庭)はホワイトレースフラワー(毒芹疑 ドクゼリモドキ)です。日本読みは残念なかんじ。花言葉は「喜びを運ぶ」です。みなさんもよく見かけているホワイトレースフラワーですね。
恭しい、仰々しい司教のお花とは思えないくらい可憐です。
左下はスナップドラゴンの騎士。英名と和名はホワイトレースフラワーと同じくらいかけ離れています。スナップドラゴンの和名は「金魚草」です。野生のアザミ「スコッチ・シスル」です。
野生の薊 Scotch THISTLE
The SNAPDRAGON opened his jaw,
But, at sight of Scotch THISTLE, turned pale
13世紀の時代にスコットランドとデンマークの戦争で、城壁に忍び込み思わず声をあげたスコットランドの兵士。
この「顎をあけた竜の頭(スナップドラゴン)」ことデンマークの斥候は、野生のアザミの棘にさされたため。スコットランドの兵士は一面のアザミに攻めることができずスコットランドが勝利を得たのです。そしてアザミはスコットランドの国花になりました。
最後のイラストがスナップドラゴンです。
左上からです。小さなジェニー・クリッパーが梯子をあがっているところ。それはジェイコブス・ラダー。聖書の創世記に出てくる「ヤコブの梯子」なんですね。
いま眠っているヤコブ。ヤコブが夢に見た地上から天まで届いている階段は、ヤコブの目が覚めると消えてしまうのでしょうか。
イラストは開花するまえのお花です。和名はハナシノブ。
右上は美女撫子に扮する貴公子が、マリーゴールドに扮する女性に三色菫を渡しています。その後ろに控える二人のオランダ人はダッチダリア。
名誉革命 Glorious Revolution
ローマ教会では1月1日は聖母マリアの祭日です。2月2日は聖母マリアお清めの日といわれる聖燭祭がおこなわれるそう。この日は冬の終わり、そして春の訪れを告げる日らしいのです。その日に必ず咲いているのがマリーゴールドらしいんですね。マリーとは聖母マリアの名だそうです。
その聖マリアの擬人像に「思考」という花言葉の三色菫をわたしているのは、スィーツ・ウィリアム。征服王ウィリアム1世、アキテーヌの聖ウィリアムからの由来の名です。花言葉は「義侠」です。
英国王室の祖とされるのが征服王ウィリアム1世ですが・・・。
ウォルター・クレインはこの花の名の由来から、ジェームズ2世の娘メアリー(Mary II of England)とその夫でオランダ統領のウィリアム3世(William III of Orange)をイングランド王位に即位させた「名誉革命」を描いているのではないでしょうか。
ダッチダリアに扮する二人のオランダ人がそう言っている気がします。ダリアの黄色は「栄華」の花言葉。ピンクは「豊かな愛情」です。ダリアの花言葉には「移り気」という言葉もあります。こちらもこの1枚に添えておきましょう。
ナルキッソス
みなさんご存知のナルキッソス。簡単に。
ひとつには、アプロディーテーの贈り物を侮辱したナルキッソはその復讐に、彼を愛する者を拒むように呪いをかけます。
もうひとつには、森の妖精エーコーが女神へーラーの怒りで、相手の言葉しか話すことができなくなり、ナルキッソはエーコーを拒むようになります。それをみていた復讐の女神ネメシスは彼を自分以外愛せないようにするのです。
そうして湖にうつる自分の姿に恋焦がれ死んでいくのですが、そこに咲いたのが水仙。ナルシスト(ナルシシズム)の語源にもなったナルキッソ。
でもたしかナルキッソスは白い水仙だったはず。ひとつだけ白い水仙が描かれていますね。
最後は、和名はヤクヨウコゴメグサでゴマノハグサ科の「アイブライト」です。
三美神 Three Graces の エウプロシュネー
学名のEuphrasia(ユーフラシア)は神話の「三美神(Three Graces)」の一人である喜びの女神エウプロシュネー(euphrosyne)に由来しています。
三美神については前記事に詳しく記していますので、きょうは名の由来のあるエウプロシュネーについて。
カリスたち(カリテス)は美と優雅の女神です。アプロディーテーに仕える姿がもっとも有名ですね。
盲目の少女が香りをたよりに、山の菜を摘みにきました。ところが触れただけでも毒がまわるという毒草の甘い香りに誘われてしまったのです。
カリテスの一人エウプロシュネーはその姿をみて、彼女が毒草に触れる瞬間に、盲目を治す薬草に変えました。
その花を摘み香りをかいだ瞬間に、その少女の瞳は輝きだし、この世のすべてを見ることができるようになったといいます。
花言葉は喜び。
ところがウォルター・クレインが描くこのアイブライトと水仙。生き生きとした様子ではなさそう。
While EYEBRIGHT observes from her nook,
And wonders he could be so silly.
「アイブライトの陰から見ている彼女。彼はそれは愚かなことと思ったのです。」とナルキッソをみてたんですね。
簡単に「あの人、馬鹿ね」と見てたのでしょうか。
「王の槍」に対峙する若者ランス。「蒲(ガマ)」ですね!この名前がでてくるまで3日3晩かかりました。なぜかあたまに浮かぶのは「木瓜(ボケ)」で、この言葉に似た、なんだったっけ・・・。
そして「茶色 棒のような」で検索しましたが、全然っ!3日目、「茶色、棒、きりたんぽのような」でヒット!「yopikoの、たなばた日記」さま、ありがとうございました。同じ感性で嬉しかったです。
花言葉は「救護」、「慈愛」です。
King Spear (王様の槍)
ユリ科のアスフォデルス・ルテア、アスフォデリネ・ルテア(Asphodeline lutea,Asphodelus luteus)というのが「王の槍」といわれている花です。星形で黄色い花の穂状花序のもの。
たま~に「本来は白い」とされている記事をみますが、たぶん勘違いされてると思います。ルテアのつかないアスフォデルスは、この王の槍とされているアスフォデルス・ルテアと違うんですよ。ルテアというのが黄色の意味なんです。
画像をクリックするとアスフォデルス・ルテアの写真に変わります。
古代ギリシャでは「死の花」、のちに「天国の花(楽園の不死の花)」とされているアスフォデル(Asphodel)は「King Spear (王様の槍)」と違うようですね。
この若者ランスのもとでビューグル (bugle)は「らっぱ」という意味がありますが、まさにそのビューグルを手にしている兵士が描かれいてます。
右上が「王の槍」を手にした騎士。アーサー王なんでしょうか?
その足元にいるのはハーブを育てている方ならご存知の「レディースマントル」を羽織った女性です。
左下には瑠璃飛燕草(Delphinium, Consolida)。ここでは「夜の足跡、夜の燕」という別名。
その花の上にそっと止っているような妖精は、「レディー・バウアー」。イギリスの植物学者フレデリック・バウアー(Frederick Orpen Bower 1855-1948)からウォルター・クレインは名づけたのでしょうか。
このお花がレディーバウアーです。アイボリーがかった白で、真っ白な花がヴァージン・バウアー(Virgin's Bower)と呼ばれているようですね。
彼女の足元で一体何を探しているのでしょう。レディー・スリッパ、女性の靴を探しているようです。
4枚目のイラストは、片一方の靴をはいていない「レディー・スリッパ」が登場します。そして足元には一人の人物とその膝元に片方の靴が。
「麦芽の悪ふざけ」がスリッパを隠しているんですね。
左上のイラスト、小さなヒキガエルがいますね。
TOAD-FLAX is spun for BUTTER-AND-EGGS
このヒキガエルの名のお花がトードフラックスです。細葉海蘭(リナリア・ウルガリス)というのが和名になります。女性は糸を紡いでいます。
ホソバウンランの擬人像がトードフラックスの糸を紡いでいる。ミルクとバター、そしてトードフラックスの二つのかわいい名があるホソバウンランです。
THRIFT アルメリア
次の右上は「女性のクッション」とよばれる「スタティック・アルメリア」です。その後ろには「沢菊」が・・・。
アルメリアに座る婦人に恵みを願いにきた「サワギク」ですが、婦人の「THRIFT(節約)」のために帽子は空のまま。
スリフトはアルメリアのことなんですよね。掛詞をふんだんに使っていますね。
3枚目のイラストは蜂蜜酒(ミード)の女王はメドウスィート(西洋夏雪草)の花冠をつけています。蜂蜜酒というのはkAFKAの悪ふざけです。
ミードのクィーンとタークス・ヘッド
最後は「トルコ人の頭」とよばれている原種系のユリ。トルコキキョウは「トルコ人のターバン」と言われてますよね。
この「タークス・ヘッド」(トルコ人)と「ミードのクィーン」は何かつながりの物語のようなんですよ。「ミードの女王の領域は広いけれどもタークス・ヘッドはプライドにターバンを巻く」とありました。
1869年のスエズ運河の開通とともにオスマン・トルコは勢力を伸ばし、北のイエメンを占領しています。イギリスは南なんですね。
このトルコの占領を示しているんでしょうか。
ターク・ヘッド こぼれ話
「タークス・ヘッド」は、ここばかりの登場ではありません。イギリスのロンドンにはシェイクスピアの研究で知られるサミュエル・ジョンソンは「クラブ向きの男」(Clubbable man)という異名で知られていますが、ジョシュア・レノルズがよびかけた文学クラブ(The Literary Club)の名前が「タークス・ヘッド(The Turk's Head)」。この創設メンバーでもあったんですね。
この「タークス・ヘッド」はウォルター・クレインの時代にも、そして現在でも残っています。
左上はスターオブベツレヘム(Star of Bethlehem)のお花。和名はオオアマナ。
東方三博士の礼拝
記事
東方三博士の礼拝(The Adoration of Magi)
記事
サンドロ・ボッティチェリ サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 「東方三博士の礼拝」の謎
キリスト誕生の時輝いた星は東方の三賢者に知らせるもので、その星が地に落ちて花となったといわれるもの。
セント・ジョーンズ・ワートは西洋弟切草。
サロメ
セント・ジョーズ・ワートは洗礼者ヨハネのこと。サロメは踊りのご褒美に、邪恋のヨハネの首を求めました。
ギュスターヴ・モロー サロメ
その血は葉を染めます。そのときから不思議な力をもつ花になりました。ヨハネの生誕のときに黄色い花を咲かせます。
カインの末裔?
3枚目の左下は向日葵(Sunflower)です。すっかり日が落ちて、花は下を向いています。ほ労働者のような天使?たち。彼らも日がはやく落ちるほどに下を向き、そして日が沈む海へと向かっています。
聖書にでてくる種を撒く人、葡萄園のはなしなどを思い出させるような光景。
アダムとイヴが楽園を追放されて長男カインは農耕をはじめます。弟アベルを殺してしまったあとには、神の怒りで耕作しても収穫できない罰を与えられました。
過酷な労働を強いられているような「羽をもつ人々」は飛ぶ様子もなく、歩いています。楽園を追放されたアダムとイヴ、そしてカインの末裔なのかもしれません。わたしたちと同じように。
記事 ギュスターヴ・モロー 「人類の生」
記事 KAFKA ギュスターヴ・モロー
最後のイラスト。緑のなかの少女ともいわれるニゲラ・ダマスケナ。花言葉のひとつ「華奢」が「少女」そのものをあらわしているかもしれません。
LOVE-IN-A-MIST & DEVIL-IN-A-BUSH
別名は花が開くと「霧のなかの愛」、そしてもうひとつ、蕾は「茂みのなかの悪魔」。このお花は黒種草のことなんですね。ですから熟した実になる黒い種を悪魔としているのでしょう。
悪魔とされつつ、実は聖書にでてくるウイキョウ(茴香)はこの二ゲラとも言われているそうです。この黒い種こそクミンなんですね。
「ラヴインナミスト(ニゲラ・ダマスケナ)」は1~3本くらいが私の鑑賞に耐えます。8月22日、9月30日の誕生花。花言葉は「未来」、「とまどい」、「ひそかな喜び」、そして「華奢」です。
イラストはラテン語の「niger(黒)」に由来したとおり、ほの暗い霧のなかにいるようです。なにかを恐れているのでしょうか。
この花の細い葉は「ウェヌス(ヴィーナス)の髪」といわれるほど繊細さ。
記事
ボッティチェリ 至福の花々 (サンドロ・ボッティチェッリ)
向日葵は夜になると眠ってしまいますが、この「ラヴインナミスト」は、夜も眠らない「緑の少女」かもしれません。
キンポウゲ科 トラベラーズ・ジョイ。ウォルター・クレインとおなじイギリスの挿絵画家のシシリー・メアリー・バーカー (Cicely Mary Barker 1895 – 1973)が描いたトラベラーズジョイの妖精(The Traveller's Joy Fairy)よりも魅力的な大人の妖精。
冬には「おじいさんの髭」(Old-Man's-Beard)とよばれるワイルド・クレチマス。
トラベラーズ・ジョイは最後のご挨拶に登場。古代庭園の旅は終わったのです。
それでは最後のトラベラーズジョイと最初の妖精とを交えてお話しを進めます。
この妖精が最初に登場したシーンに
「Of old in Rosamond's Bower」とあります。
イングランド王ヘンリー2世の愛人フェアー・ロザモンド(Fair Rosamund)は、「美しきロザモンド」でラファエル前派の題材にもなっていますが、「娼婦のロージィ」とも呼ばれています。
愛の蔓草(Love Vine)と呼ばれるトラベラーズジョイは、この離宮に住むロザモンドを想像させます。
離宮の内部は迷路で、細い絹糸はロザモンドの閨に続いているのです。愛の蔓草のように。
「旅人の喜び」とは、ヘンリー2世がロザモンドに会いにいく迷宮の旅の喜びを重ねているような気がしてきましたよ。
蜻蛉とおなじように悪魔のかがり針(Devil's Darning Needles)とも呼ばれ、悪魔の毛(Devil's Hair)と呼ばれる不思議な植物。
そしてまどろみ夢のなかで古代庭園を旅した画家は、その夢先案内人の注ぐソップスインワインを目覚めのハーブ・ティーとして飲んでいるのでしょうか。
お茶の時間、それは英国式幸福論の象徴ですね。
ソップスインワインってクローブピンク(Clove Pink)のことですが、林檎もあるんですよね。それがワインに浸したソップ(パンとか)のようで、中央がお花のかたちで、林檎の赤い色がそのまわりに染み込んでいます。
ソップってミルクやワイン、スープに浸して食べるものを指しますよね。ここでは「パン」がお花や林檎のイメージが湧きやすいと思います。
バウワー(bower)とは、中世の城中の「閨房(婦人の寝所).という意味なんですね。つまり寝所で交わされる睦言の女性がロザモンド。ロザモンズ・バウワーって「閨の中のロザモンド」のことだったんですね。
Of old in Rosamond's Bower,
With it's peacock hedges of yew,
One could never find the flower
Unless one was given the clue;
So take the key of the wicket,
Who would follow my fancy free,
By formal knot and clipt thicket,
And smooth greensward so fair to see
With it's peacock hedges of yew
イチイの生垣の孔雀って、よく英語の表現があるんですけど、英国庭園の伝統なんですね。
あの生垣の孔雀はアルフレッド・テニスン(1809-1892)の詩、「眠りについた赤い花びら」にでてくる「白い孔雀」でしょうか。
英国の庭園、ヨーロッパの庭園もそうですけれど、基本があるらしくってイチイの生垣、中庭、彫像、噴水、ハーブの庭、池にお魚や白鳥、そして孔雀ですね。孔雀は美と権力の象徴。
孔雀の羽根は古代ギリシアでは富と品格をあらわしていました。とくに女性の持ち物として。
英国は16世紀にはノット・ガーデン、迷路、トピアリーが流行しましたが、そうした象徴するものをウォルター・クレインはイラストだけではなく添えた言葉から想像させます。ギリシャ神話を思い出させる場面は、古代彫刻を示していたのかもしれませんね。
最初のシーン、鍵をもつ夢先案内人の妖精は迷路の鍵を持っていたのかも。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの「閨房の庭」(The Bower Garden)は、今度にします!
下井草書房さんでウォルター・クレインのオリジナルのお値段調べようと思ったらなかったですが、「スペンサーの妖精の女王」 全6巻で58万くらい。ルイス・キャロルよりちょっと購入しやすいと思う方々もいるかも。
1冊で10万以下のものがあるってことですもんね。
ウォルター・クレインはアーツ・アンド・クラフト運動に賛同し、ウィリアム・モリス、ラファエル前派とも交流がありました。
いま、大量に印刷されているウォルターの絵本を、天国でどんな気分で見ていることでしょう。職人気質の絵本画家さん!
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