酒井抱一のボタニカルアート
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実はSAIが、抱一の『絵手鑑の内蓮池に蛙図』のポストカ ードを手にしているときに、奥方が、「まぁ、蛙に睡蓮ね。」とおっしゃた。
こちらが伊藤若冲の『玄圃瑶華』から図様を倣い、抱一独自の構図や筆致に、彩色もされています。蛙のお腹や脚、そして蓮の葉の葉脈には金が用いられていますね。ただ蓮の特徴である茎はなく、なんだか葉にも切れ目がある。
睡蓮は、江戸時代には育成されていなかったと思われます。「梅園草木花譜」や「東莠南畝讖」などの江戸時代の博物誌には、蓮しか描かれていません。当時、人気のなかった薔薇も、小さくメインの花の下にそっと描かれているだけですが、睡蓮という名は、どこにもありません。
これは「蓮」ですね。
茎が長く、ま~るい葉は、たいてい水面からすっと姿を現します。
よくみると葉に真珠のような水滴がコロコロとあります。
これが「蓮」のアイディンティティ。
でも茎が短いもの、水面に葉が浮かんでいる蓮もありますよね。 www:pdase.com_copy
さて、睡蓮はというと、単純にお話すれば水面から茎をださずに、滴のない葉には切れめがあり、お顔だけを見せてくれます。でも、茎をのぞかせることもあるんですね。
こちらがその睡蓮。葉に切り込みがありますね。これが睡蓮のIDです。
抱一の『絵手鑑の内蓮池に蛙図』と比べると良く似ていますが、実は睡蓮は、大正時代に育成がはじまった植物なので、この時代には原種である「未草」といいました。
プライスコレクションの中野其明「蓮図小襖」は、まぎれもなく「蓮」の特徴が描かれています。
この渡来した睡蓮ではなく、日本に自生していた未草。江戸時代から明治6年までの時の呼び名である未の刻から、「未草」とよばれたといいます。ということは、抱一の描いた「蓮池」に蛙図は蓮池に咲いた未草という可能性があるということですね。蓮池と蛙であって、花の名前をタイトルにしているわけではないですもんね。
万葉時代から蓮があったといいますが、こちらは「古代蓮」といわれる2000年前の縄文遺跡から出土した種子で、1951年に種が発見されました。蓮の地下茎である蓮根は、江戸時代にも味わうことができたようです。この古代蓮、葉に切れ目がありますが、自然の戯れで、しぜんに葉が裂けてしまったのでしょう。
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