抒情画の領域で、一世風靡を果たした竹久夢二。杉浦非水同様に、アール・ヌーヴォー、アール・デコを作品に取り入れていきます。
木版画の制作、楽譜や表紙装幀、浴衣・半襟・手拭いなどの図案も手がけ、やはり図案集を著していくのです。
ですが、夢二も非水も芸術家、画伯と呼ばれる領域ではありません。夢二は画詩人、非水は、グラフィックデザイナーです。
こちらは昭和の時代の作品。こちらは大正14年6月号『三越』の口絵「涼しき装い」です。アール・デコの世界ですね。全体的に淡いトーンは、これから先の時代である1960年代のカラーキャンペーン。
冷たく甘いトーンのパステルカラーを訴求をした「シャーベットトーン」を思い起こさせるような作品。
明治時代の作品で、ローダーコレクションの1枚である「花見」です。
ボストン美術館(Museum of Fine Arts, Boston )所蔵で、「Umbrellas Viewed from Above」というタイトルになっているはず。
ここには夢二の作品がかなりあります。
大正13年12月号の婦人グラフ表紙『雪の風』(木版)です。フランス誌「Art Goût Beauté」(アール・グー・ボーテ)に影響を受けています。こちらは『世界でいちばん美しい詩 林古渓 「浜辺の歌」』から同じ構図を用いた夢二の「雪の日」をごらん頂けます。
夢二抒情画選集 上下感は、この作品がグレー色に刷られています。
三越百貨店の竹久夢二展のポスターです。
今年の新春に、福岡三越で開催された夢二展。7月9日から14日までは松山の三越で展示があります。知らない作品もあります。このポスターのタイトルがわからない。
夢二の作品に関心がある方には、下記サイトをおすすめします。
竹久夢二「アール・デコの世界」展
弥生美術館/竹久夢二美術館
レトロポリタン美術館 竹久夢二 「青い小径」(春陽堂)
この作品と同じ構図がありますが、この作品のタイトルが定かではありません。婦人グラフの「霜葉散る」に似ています。化粧をする風景にも見えます。こちらは海外サイトでお借りしたものです。
いまはリンク切れになってしまい、本文を拝見することも不可能となりました。日本のサイトでも紹介されていないようですので、あえて掲載。
「愛の総勘定」です。オークションにもかけられています。ラビリンスを思わせる構図に、微妙な配色のなかにたたずむ女性。そしてタイトルの面白さ。夢二の描く女性には、人によっては好き嫌いがはっきりするでしょう。竹久夢二版画「婦人グラフ」1巻8号口絵は大正13年の作品です。
大正時代には、楽譜表紙の装丁もかなり手がけています。林古渓作詞の 「浜辺の歌」の楽譜表紙も夢二が装丁。その作品も掲載しています。こちらも、さきほどの『世界でいちばん美しい詩 林古渓 「浜辺の歌」』からごらんいただけますし、試聴もできます。
ほとんどがセノオ楽譜の表紙で、西洋音楽の普及に努めた妹尾幸陽が大正5年 から昭和2年にかけて国内外の名曲を集め出版した楽譜集です。たとえば歌劇「ホフマン物語」 オッフェンバッハ作曲 堀内敬三訳詩は「船うた」として出版されています。
縮刷 夢二画集 古書 夏目書房
初版本、復刻版もあります夢二画集。右側がケースになっています。ちょど世界大戦の大正3年の出版ですね。
この翌年に、協議離婚をしながらも暮らしていた妻たまきと別れ、25歳でなくなる笠井彦乃と結ばれるのです。
夢二的美人のいくつかで、「立田姫」、「この夜ごろ」は変身抄からどうぞ。
「とーしさま」
コメントのプレゼントありがとうございます。気がつかなくって申し訳ありませんでした。
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