ラ・ジャポネーズ La Japonaise
ヨーロッパの芸術をみると、ジャポニズムを自国の文化にしています。たとえばアール・ヌーボォーも、ジャポニズムの流行がきっかけでしたが、日本のアール・ヌーボォーよりはるかに装飾美をつくりあげています。これは、平面美の日本と立体美のヨーロッパの文化の違いだったのでしょうか。
建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュは、建築から内装、家具、貴金属などにジャポニズムを取り入れています。19世紀末、20世紀初頭のアール・ヌ-ヴォ-、アール・デコのモダニズム形成期の先駆者の一人です。(マッキトッシュ ファンサイト)
日本におけるアール・ヌーボォーには、杉浦氏、浅井氏らがいます。私の母が、与謝野晶子の乱れ髪を手にした時代に、すでに活躍していたアーティスト。さらに明治の時代に、海外の作品から図案を熱心に模写し、自分自身のモティーフをつくりあげた「板谷波山」がいます。
1995年の「珠玉の陶芸展」の図録は、編集が東京国立近代美術館で、発行が朝日新聞社になっているものです。 出光美術館からは-
-「出光コレクションの中から、収録した。制作年が確かなものにはこれを明記し、他の資料による場合には『項』を付した。参考資料としてやきもの以外の作品と作陶用具などを掲載した。 」とあります。
この「板谷波山」が出光美術館出版の単行本(¥ 26,250)です。ほかにもたくさんありますが、「豪華本「板谷波山」 ITAYA HAZAN」、「板谷波山の生涯―珠玉の陶芸」もおすすめです。出光出版の単行本はここから表紙が拝見できますよ。
板谷波山は、生涯「清貧」とした生活の中で、一切の妥協を許さず、造形や色彩に完璧を期した格調の高いものをつくりあげていきます。
この花瓶の絵柄は「tulips」です。なんと楚々とした可憐な絵柄でしょうか。1917年の「葆光彩磁チューリップ文花瓶」です。
さて、出光美術館所蔵の、1910年作品で「葆光彩磁草花文花瓶」と見比べてみてください。
また、天目茶碗の「命ごい」という作品があります。銘の由来ですが、波山が気に入らず壊そうとしていたところへ、出光佐三氏が譲り受けたそうです。最後まで波山は、箱書きを拒みました。
こういったジャポニズムを、「失われたときを求めて」の著者であるブルーストとの関連を論考した書籍があります。
Le japonisme dans la vie et l’〓uvre de Marcel Proust
プルーストの作品および作家自身の体験や感性と、同時代の美術工芸・社会風俗に見られた広義の「ジャポニスム」(日本趣味)との関連性を 、鈴木順二氏によって書かれています。
「マルセル・プルーストの生涯と作品におけるジャポニスム」というタイトルになりますが、全仏文です。
ジャポニズムというのは、諸外国が好んだ日本趣味、様式ですが、日本庭園、着物、浮世絵、陶磁器が多かったようですね。作品は美術館とおなじくらいに、海外のコレクター、オークション、アンティークなどのサイトも、豊富ですよ。
板谷波山 作品リンク先
彩磁瑞花鳳凰文花瓶 出光美術館
彩磁月桂樹撫子文花瓶
葆光彩磁禽果文大花瓶
白磁棕櫚葉彫文花瓶
葆光彩磁珍果文花瓶
葆光彩磁細口菊花帯模様花瓶
蛋殻磁袴腰香炉
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