エッシャー カライドサイクル
エッシャー(エッシャーの作品はこちら→スーパーエッシャー展 Bumkamura by remove)のキーワードに、正則分割・遠近法・無限性・不可能性がありますね。美術手帖 11月号に、M.C.エッシャーの特集で、愛好したケプラーの多面体という小星型12面体、星型8面体のお話が掲載されています。
TETRAROLL テトラロール ESCHER /表裏のトポロジー
http://www.bijutsu.co.jp/bt/furoku1.html
CUBEROLL キューブロール ESCHER /5角形で平面を埋めつくす
http://www.bijutsu.co.jp/bt/furoku2.html
OCTAROLL オクタロール ESCHER / 角度のトポロジー
http://www.bijutsu.co.jp/bt/furoku3.html
↑という「たためるプラトン立体 3点」の特別付録が付いています。
Saiが、中学の数学で学んでいるよ、 aleiは、正多角形の対角線を求めることやったじゃんっていいますが、記憶にありません。
その中学の数学というのが、4個の正三角形からなる正4面体,6個の正方形からなる正6面体,8個の正三角形からなる正8面体,12個の正五角形からなる正12面体,20個の正三角形からなる正20面体のことで、対角線というのが、すべての面が等しい正多角形できていて、各頂点に集まる辺の数が全て等しい。それが多面体である。・・・(そう・・・なんだ・・・。)
正多面体(Regular polyhedron)とよばれるのは、この5種類のみである。・・・(うん、うん。そうなのね。)
なぜならば、3×((n-2)×180°÷n)<360°が成り立つからだ。(by プラトン)・・・(えぇ~!5種類のみでストップして~!)・・・つまり (頂点の数)-(辺の数)+(面の数)=2 という関係を満たすものっていうことらしい。・・・。
正4面体 → 4-6+4=2
正6面体 → 8-12+6=2
正8面体 → 6-12+8=2
正12面体→ 20-30+12=2
正20面体→ 12-30+20=2
この数式から、5種類しかないことを「証明」した。(↑オイラーの定理)
そこで、エッシャーが愛好したケプラーの多面体というのが、正12面体と正20面体のみ星形正多面体にあたり、それが、ケプラーが発見した「星形小12面体」、「星形大12面体」です。(200年後にボアソンという人が大12面体,大20面体を発見して正多面体の星形化が4種類ということになるそうです。
星型正四面体というのは、ケプラーの星型8面体のことです。
外接する立体から、正6面体、立方体 (hexahedron, cube)ができて、内接する立体から正8面体ができるということです。
この外接、内接による「面点変換」から、ちがうカタチが生まれます。
この本、エッシャーの「カライドサイクル」は、作品を立体的に再現したものです。論理が理解できなくとも、絵は見ればわかる(エッシャーの三つの世界 by LSC)、多面体はつくればわかる!型紙になっているし!これは数学者のドリス・シャットシュナイダーと芸術家のウォレス・ウォーカーがエッシャーの図柄を紙の表面にあしらい、連続的に模様が変化する不思議な立体模型が作れるというもの。
エッシャーの多面体をはじめ、鏡面反射、光学的な性質、結晶の幾何学的な特徴(ミステリアス エッシャーby RE+nessance)を知ることで、無限反復錯視図、多義図形を充分に知覚できるでしょう。
人間や動物などの繰り返し模様が特徴の「平面の正則分割」では、 図 ( フィギュア ) と地 ( グラウ ンド )の背景が、反転の形態により、双方可能な対象性を知ることができますね。
人間の注目する視点はさまざまで、色彩の対象色の表現が、白にむけば白い部分が浮かび上がるというように、黒の部分と一度に識別はできません。エッシャーはそういった反転の形態を随所に描いています。平面で三次元を描いているという視覚のトリックから、「見ている」ものと「見える」ものを視認し、「変容」、「循環」、「無限」の表現を実感できます。
このカライドサイクルは、立体的に作品をみると、クラフトの性質だけではなく、そのフォルムがいかに数学的であるかを体験できます。
これは、幾何学の原理にエッシャーの連続模様が構成され、四面体の三次元のリングという、「中心部」にむかって、「無限に回転」させることができる立体です。
Kaleidocycleを、数学的要素を絡ませると、大学の講義にも使えるらしいですが、これはエッシャーとは別に、カライドサイクルという原理です。美しい + 形 + 輪の意味を意味をもつ無限に回転する四面体。立体で見る美術とするなら、原理そのものよりも、幾何学の連続模様を楽しむことができます。
エッシャーの平面の正則分割は、折り紙から、正多角形を組み合わせて敷き詰めることに発展させながら、タイル貼りを経験できます。エッシャーのジグゾーパズルも販売されていますが、この幾何学のパズル的な実感。これを論理の解釈を必要としないなら、図工という枠におさまるでしょう。私は理数ダメなので、数理と展開図ぬきのクラフトです。(笑)
こうしたエッシャーの連続模様が、中心から「押す」、「返す」、「回転」させるたびに違う面が見え、「Kalos:美しい」 「Eidos:形・模様」 「Kyklos:輪」という意味が体験できます。
Kaleidocycles
↓中心から押す、返すという動作が動画でご覧いただけます。
M.C.Escher kaleidocycles
other kaleidocycles
M.C.エッシャー カライドサイクル(邦訳)
その他 エッシャーの版画、リトグラフの作品写真
Artwork of MC Escher
日本語サイトでとってもわかりやすいステキなHPを発見。
しごと・あそびごと・ひとりごと
↑のリンク先はKaleidocyclesが、どんなふうに変化するかを図や写真でみることができます。五角形で平面を埋め尽くしたキューブロールをひろげて輪にするとどんな具合になるのかなど、さまざまです。日本語サイトではないのですが、写真で十分に実感できます。
つまり、この記事を読まなくとも、(読んだらわからなくなるから)リンク先を見ていただければOK!
洋書のM.C.Escher kaleidocyclesの紹介です。
M.C. Escher Kaleidocycles (Pomegranate)
著者:Doris Schattschneider,Wallace Walker
M.C. Escher Kaleidocycles (Ballantine Books (P))
著者:Doris Schattschneider
M.C. Escher Kaleidocycles (ペーパーバック)
Doris Schattschneider (著)
M.C. Escher Kaleidocycles (ペーパーバック)
M. C. Escher (著) Parkwest Pubns; Special ed版
Doris Schattschneider,Wallace Walker (著)
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