レオノール・フィニ 天使とスフィンクス
レオノール・フィニは、見目麗しい物の怪を、見事に作品化した女流画家。彼女の作品は、著作権がありますので、画像引用として掲載いたします。左がエンジェル、右がスフィンクスのイラリア(イレリア)です。
フィニは、舞台・映画美術も手がけ、千一夜物語の題材やO嬢の物語の挿絵、サドのジュリエット、ネルヴァルのオーレリア、ボードレールの悪の華(猫族)の挿絵など、文学とも非常に結びついている画家です。美とグロテスクさを共有しているのは、彼女自身の謎めいた性質が描かれているからでしょうか。
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レオノール・フィニ グラフィック
全177ページ 162 カラー
ISBN: 1299859879
Schöne Liebe der Hexen.
Erotische Zeichnungen
by Leonor Fini Hardcover - 1971
守護者スフィンクス(1946年) や、宮崎県立美術館蔵の二つの頭蓋骨(1950年)には、シュルレアリスムを感じさせますが、彼女は、シュルレアリスムではなく、あくまでも「レオノール・フィニ」イズムです。よく言われるエロティシズムは、ちっとも感じない。芝居がかったものを感じるからです。
また、独特な幼児性。大きな蝶々をみつけて、キョトンとする大きな瞳。これは何?と、手で蝶を叩いてしまうような幼児性をもった女性。純真無垢な幼児性ではないということ。フィニは悪の華の挿絵を、スフィンクスに見立てた猫も描いてます。ボードレールは、猫族を、「もろもろの学と悦楽との友」としています。これは、フィニのよう。
「女性のメタモルフォーゼ」
・女性のメタモルフォーゼ 表
・女性のメタモルフォーゼ 裏
かわいらしく描いた女性が表に4人。
気取った骸骨が裏に4体描かれています。
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LEONOR FINI Catalog Book1988
注目されるのが好きで、まわりが何が好きか、どんなことに驚くかを見抜く才能。素晴らしい。それが作品化されていくので、情緒というものが見えない。情緒は見えないけれど、凄みは見えます。「どう?私って。どう?私の才能って。どう?私の生活って。」という、自己演出の凄み。
でも、「女性のメタモルフォーゼ」からは、もっと違うものが見えてくる。官能性でも、神秘でもない、謎。二面性の謎です。美徳と悪徳です。フィニの1950年作品に、「ラ ヴィ イデアル(アイディール)」(理想的生活)というのがありますが、彼女の理想的生活は、人ではなく、猫に豹。猫と豹は、まさに二面性の動物の対比。
澁澤龍彦氏は、カリスマ性をもつ巫女のように、日本に紹介しましたが・・・。作品によっては、フィニに対する個人的な感覚が覆させられてしまう。不思議な画家の不思議な作品。「福者フェリーヌの戴冠式」は人(精霊?)と猫のセレモニー。これはとってもロマンティック。「レオノール・フィニ ダムゼル」は、夜の姫君の猫を記事にしています。
フィニの作品
OriginalPrints
La galerie Minsky - Leonor Fini
Weinstein Gallery(ワインスタイン ギャラリー)
Spaightwood Galleries
(Fini: Sultanes and Magiciennes
Fini 2: Sphinxes / Fini: Paralellment
Fini 4: Portraits / Fini 5: Cats
Fini 6: Le Livre de Monelle)
画像 「FEMME LION」
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